夢見処

□修羅に生きる男
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―――瀬田様、私は今のまま、貴方だけを想い続けてもいいのでしょうか…?―――


私は瀬田様の事が好きです。端正で美しい容姿とは裏腹に獲物を捕らえる「修羅」としての強さ。その心の中では一体何を思っているのか…私にはわからない事もありますが、それさえも愛しいと思ってしまうのです。

「今日もご苦労だったな、宗次郎。」
「はい。大人数でしたが、どの人も無能と言っていいぐらいの強さでしたからねぇ。僕1人ですぐに殺しましたよ。」

子供っぽくあははと笑う瀬田様の声には似合わない言葉を発しているのが襖の奥から聞こえた。瀬田様が帰ってきたんですね…。私は瀬田様がこの襖を開けて外に出てくるのを待っていた。志々雄様のように、「今日もご苦労です」って言いたかったから。私と瀬田様には特別、接点がある訳でもなく、会ったら挨拶をする程度の関係だった。最近は話していなかったから緊張して胸の鼓動がとまらない私でした。その時に、急に襖があいて思わず「きゃ!」と悲鳴らしき声をあげてしまった。

「あぁ!貴女だったんですね。確か名無しさんさんでしたよね?襖から影が見えてたものだから」
『み、見えてたんですか!?恥ずかしい…ごめんなさい!』
「そんなに謝らないでくださいよ。可愛らしい声が聞けて満足ですから。」
『か、かわ…!?』

くすっと笑いながら「可愛い」と言われて、瀬田様の言葉に頬を染めてしまいました。頭から湯気が出るぐらいに体中が熱く…。
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