Life goes on !
□こんにちは、新世界
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床に座り込み、腕を組んであたしは唸る。
「 むぅ……… 」
あれから。
一通り街の様子を見て回った。A・Tはおそらくまだ壊れたままなので、歩いて回った。そんなに大きな街ではないようだが、徒歩は流石にキツかった。
気付けば日が暮れてきたので、結局もといた家の二階に戻り、わかったことを整理してみる。
まず、この街全体が、既に人がいない廃墟であること。しかも、よくよく見て回ると、外から壊されたような跡があったりする。そして、所々に、血痕。
戦争か何かで、廃墟になってしまったらしい。
そして、色んな家の中まで入ってみたが、科学文明の欠片も見当たらない。パソコンは勿論のこと、台所のガスコンロ、家の照明器具、外の街灯までも全く見当たらない。かろうじて、井戸は見つけた。
相当田舎なのか、文明の発展が見受けられない。因みに、携帯をさわってみたが、案の定 圏外だった。
今時、こんなところ、あるのだろうか?
地名を示すような看板や標識なども、残念ながら一切、見当たらなかった。
家の中を捜索中、双眼鏡と毛布、まだ食べられるかはわからないが缶詰めらしいもの、蝋燭などを見つけたので、拝借してきた。缶詰めは、ラベルが付いていなかったので、中身は開けてからのお楽しみである。
窓から、双眼鏡で外の様子を眺める。
街の外は、荒野しか見えない。
誰かが来るまでは、動かない方が賢明そうだ。
幸い、あたしが寝転がされてた横にリュックが一緒に置いてあり(これもなぜか、高校生の頃愛用していたものだ)中身は飴やらスナック菓子、カロ●ーメイト、キャンプ用の簡易バーナー、ランタン、サバイバルナイフ、タオル、筆記用具、タバコ、A・Tの整備工具とスペアパーツ、携帯の充電器などなどがパンパンに詰まっていたので、暫くは暮らしていけるだろう。
よく公園で寝泊まりしていたから、多少のサバイバルは馴れている。悲しいことに。
とりあえず、ランタンに灯りをつける。
そして、カロ●ーメイトをひとかけらかじる。
こんなとき、自分が大飯喰らいでなくてよかったと思う。おかしひとかけらで十分だ。
食べ終わり、A・Tの修理でもしようかと思ったが、明かりが足りないので早々に諦めて、寝ることにする。
寝心地はあまりよくないが、久しぶりに睡眠時間はたっぷりたとれるのでよく休めそうだ。
*****
次の日。
朝目覚める。携帯は電池の残量が気になるので、電源を切っている。
久しぶりの熟睡のお陰で、身体が軽い。大きく伸びて、起きぬけのタバコ。
窓から、双眼鏡で外の様子を探る。変わった様子はない。
外に出て、昨日見つけた井戸で水を汲み、顔を洗う。
已然人っ気がないため、辺りはとても静かだ。そして、本日も晴天なり。
「 さてと、」
部屋からA・Tの整備工具とスペアパーツを持ち出し、青空の下で修理する。
暇だし、とりあえず一回分解して組み直すか。
この日は、ほぼ、この作業で終わってしまった。
そのまま外で火を起こし、夜ご飯にと缶詰めを開けてみる。においを嗅いでみたら、どうやら大丈夫そうだ。
念のため、火にかけて温めて食べる。
味気のない、豆の缶詰めだった。