兵長がバックドロップ食らったら異世界トリップした

□【続】と書いて【Life goes on.】と読む
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あたしの熱弁も虚しく、青エクの世界に行ったことは結局『たまたまあたしとリヴァイさんが同じ夢を見ただけ』ということで片付けられてしまった。確かに。向こうで一週間も過ごしたなんて自信を持って言えない。だって目を覚ますまで、ほとんど時間が経ってなかったのだから。
他に確証も自信もない以上、何も言えず …… アドレスのメモも、誰かに貰ったものを入れっぱなしにしていただけだろう、と自分の中で無理矢理結論付けた。
いい夢だったけど、忘れよう。


しかし、“ それ ” は突然あたしの元に届き、あの出来事は忘れられないコトとなる。






後日 ────
例にもよって、リヴァイさんに説教を受け正座するあたしの耳に、聞き覚えのある懐かしい音が飛び込んできた。

どすこいメールだよ、チェケラー♪


「 おい、まだ …… 」


音源は書き物机。
あたしは慌てて立ち上がり、腕を掴み引き留めようとするリヴァイさんを振り切る。一つしかない引出しを乱暴に開ける。
そこには、無くさないようにスマホをしまってある。電源を切っていたハズのスマホに明かりが灯り、画面には 「メール一件」の文字。圏外だったハズなのにどういうわけか、見知らぬアドレスからメールが1件届いていた。
おそるおそる開いてみると、画像データが貼られている。それも開いてみると。


「 ………… え? う、そ …… マジか! リヴァイさん、ちょっと見てくださいよ! 」


ちょっとリアルな夢を見ただと思っていた。思おうとしていた。あたしも、リヴァイさんも。それも、忘れかけていたのだが。
振り切っておいて、おいでおいでをするあたしに眉間の皺を一層深くするリヴァイさん。文句を言いながら嫌そうな顔で、でもこちらへやって来る。


「 なんだ、人の話の途中だというのに ──── !?


あたしが持つスマホの画面を除き混んだリヴァイさんの目が、大きく見開かれる。


「 こいつら …… 夢、じゃなかったのか …… ? 」


データの中身は写真だった。
夢の中で、青エクの世界でみんなで撮った、あの写真。
写っているのはあの世界の人々と、タイミングが悪かったか半目のあたし、それに仏頂面のリヴァイさん。
綾子さん、いい笑顔だ ……


「 ね、言ったでしょ? やっぱり、夢じゃなかったんですよ! あたし達、トリップしてた ──── わあっ!? 」


言いかけた時、再びどすこいメールコールが鳴った。まさかまた鳴ると思っていなかったからびっくりしてスマホを落としそうになった。
さっきと同じアドレス ──── 綾子さんからだ。今度はただのメールのようだ。件名には、『 やっほーイオちゃん!綾子です\(^o^)/ 』と顔文字付きのユルいあいさつ。思わず微笑む。

開こうとすると、間を開けず三度スマホは音をあげる。
さらにメールが一件。
アドレス ──── ではなく、差出人の名前が表示されていた。

…… ああ、そういうことか。


悪魔紳士の粋な計らいにあたしは声をあげて笑った。
急に笑いだしたあたしに、リヴァイさんは困惑するばかりだった。
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