幻夢録


□第零話
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ふわふわと、宙に浮いているような気分だった。
目は閉じているのに周りの様子が分かる、不思議な感覚だった。

周りには何もない――――

ただ、真っ白な世界があって、私には地に足をつけているという感覚もなくて。
本当に、ふわふわと空間を流れていく気持ちだった。
行き着く先はどこなのだろう、そんな疑問も空気となって溶けていく。

そこは、苦しみも、悲しみも、悔しさも、寂しさも、憎しみも――――

負の感情など何一つ存在しない、そんなところだと思った。
流れているだけの存在の私が、幸せだと感じているから。

――――あれ。
私は一体、何してるんだっけ―――‥

白の世界に、色がつく。










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