世界の終わりと癒しの歌2
□【本編】敵
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僕等の平和な日常はある一瞬の出来事で音を立てて崩れ去った。
化学班がプラントを調査して居る時、ノアが出現したと言うのだ。
…大量のアクマを引き連れて。
もしかして、歌姫じゃないかと不安になった。
でも部下からは、褐色、黒髪のノアだと報告を受けた。
歌姫は、ノア化しても肌は変化しない。その事を知っていたから僕はその不安を取り除く事ができた。
教団中がざわめきだし、混乱は人の心を惑わせる。
皆の顔に焦りと恐怖が入り混じりエクソシストが帰ってきてひと時の平和を満喫していた教団は一瞬にして戦場となった。
これから長い長い朝が始まる。
ラボの中がどうなっているのか、状況がわからない今、どんな状況にも対応できるよう僕は部下を連れて教団を移動する。
その視界に飛び込んできたのは戦えるはずのないリナリーとラビだった。
リナリーを失いたくない。
たった1人の僕の家族。
たった1人の僕の妹。
僕が命をかけて守ろうと誓った家族だ。
リナリーになにを言われても、僕はこの扉を開けてあげる事はできなかった。
室長として、教団を守るものとして、エクソシストは戦わせなきゃいけないのに、僕はリナリーを失うのが怖くて戦わせることができなかった。
それを、ルベリエ長官が見て居るとも知らずに僕は指令室へと足を急がせる。