世界の終わりと癒しの歌

□【共通】昔話をしようか…
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歌姫が教団に入って一ヶ月が経とうとしたある日、コムイくんはふと考えました。

"クロス元帥に保護されたのは知っているけど、その前は何をしていたのか、家族は居ないのか…"


疑問に思ってしまったら、追求して答えを導き出したいのがコムイくんの長所であり短所。
彼はこそこそ影で答えを探すのでは無く彼女に直接話を聞こうと思ったのでした。

彼女が任務に行って、3日早く帰ってこないかな…なんて考えているコムイくん、彼は彼女をどう思っているのか………


はぁ、他のエクソシストを大切に思ってないわけじゃない。
でもなんでだろう、彼女が任務に行って3日……僕は生きた心地がしないよ……

そして彼の無線は鳴り響く……

「はい、こちらコムイ」

少しの間、なんだ?間違いか?と思い、 切ろうとした刹那僕の鼓膜に歓喜の音を響かせる声。

僕が待ち焦がれて止まなかった彼女の声。

[コムイ?今、地下水路なの、今日の夜の予定聞かせて?]


夜の予定?なんの事だろう?
今日は何か予定をたてていただろうか?

いや、今日は僕の仮眠の日だから何もないはずだ。

「今日は、なにもないよ?
どうかしたの?」

[ねぇ、コムイ
今日少し呑まない?お酒の相手して頂戴よ]

僕はお酒が飲めないわけじゃない。どちらかというと、飲めない方だろうけど、全くではない。

「うん。ちょうど、君に聞きたいことあったんだ。
そのお話をしてもいいなら付き合いますよ?Vv」

少しふざけ気味に僕が言う。

「あら、なんのことかしらv
私を知りたいということかしら…?そういうことなら喜んでv」

少しふざけ気味に君が答える。

なんだか、嬉しくなって僕は笑った。


無線を切って、少し早めに仕事を切り上げてボサボサになった髪を整え、結び直す。

彼女とデートに行く前の彼氏の気持ちはこんなものだろうかと、考えて幸せな気持ちに包まれた。

きっと彼女は任務で疲れきった身体を休めて夜食を食べてから来るだろう。
そんなことを考えて、ジェリぽんに少しいいチーズとワインを貰って彼女のびっくりする顔が見たくて部屋へと向かった。

コンコン

乾いたノック音が廊下に響く。

はーい、そんな声が聞こえて僕は少し笑った。

開く扉、漂う石鹸の香り、君の可愛い声、全てがなんだか尊い存在のように思えて仕方なかった。

「あらコムイ!来てくれたの!?」

"君の驚く顔が見たくて"なんて言えなくて笑ってごまかした。

「うん、任務で疲れてるだろうからねv
………おかえり」

口に手を当てて本当に嬉しそうに笑う彼女が僕が"おかえり"といった後のリナリーの反応に似ていて嬉しかった。

「……ただいまっ」







部屋に入って思うこと。

大人っぽい



黒色のカーテンに、ワインレッドのベッドシーツ、化粧台に、机の上で光るキャンドル、花瓶の中に入っている真赤な薔薇
すべてが女性らしいつくりで、教団にこんな団員は居ないから新鮮だった。
部屋を見て一瞬クロス元帥が浮かんだのは悔しいから言わないけど


「あ、ワイン持って来てくれたのね……ありがとう。
じゃあ、飲み始めましょうか」


「うん。そうだね」


さぁさぁ、コムイくんの長い長い夜は始まりました。

コムイくんと、歌姫のお話はどうなるのでしょうか
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