世界の終わりと癒しの歌2

□【本編】敵
1ページ/5ページ



いつも終わったらすぐ寝ちゃうくせに、今日はずっと私を抱きしめてた。

「ティキ?」


名前を呼ぶとティキは、後ろから私の首に顔を埋める。


「…もう少し」


心細くて仕方ない。

手放したくない。

でも、この手を離さなかったらまた歌姫はエクソシストとノアの狭間で苦しむ…


そんなの見たくない…

歌姫を俺だけのもので閉じ込めておく事ができればいいのに…
鳥のように籠に入れてずっと囀ってくれていたら…
どんなに安心だろうか…


「ティキ…ごめんね
愛してる」


もう、行かせてやれる。

俺はもう大丈夫だ。

言え…言えよ…

「俺は…もう…

…………大丈夫だ。

大丈夫。行って来い。」

最後の大丈夫が本心だって私にはきちんと解ったよ。

心の中で何かを葛藤して、何かを決めた事。

ねぇティキ、ティキは私の考えを否定したり絶対しないね。
まるで、心が繋がってるみたいに私の感情の細かいところまで読み取って認めてくれるの。

「ありがとう。

いってくるわ」

私1人でシャワーを浴びて、お父様が用意してくれた戦闘用の服を着る。
武器のイノセンスのみを手に持って、私はティキの前に立った。


「じゃあ、行くね」


「あぁ…行って来い」


セットしてないラフな髪型から片目が見えて…少しだけ恥ずかしそうにティキが笑う、私は少しだけ笑う。

こんな日常を貴方とずっと…
次へ  

[戻る]
[TOPへ]

[しおり]






カスタマイズ