世界の終わりと癒しの歌2

□【本編】愛おしくて
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少しだけ…
皆を試したんだ。
教団に行って…皆に拒絶して欲しかったんだ。

そのはずだったのに、逆に心乱されてた。


渇きが止まないまま、ティキと共に帰ってきて、ティキに別れを告げられてさらに渇きは強くなった。


でもどうしてもティキだけは居なくなって欲しくなくて…
私は最後の悪あがき…



その後は2人でお風呂に入って、2人でベットに潜り込んだ。


無言で抱き合う時間。

私たちの間には言葉なんてあまり意味がないようで、ティキに力強く抱き寄せられるとティキの愛が伝わってきた。


ドクドクと、心臓が脈打つ。


「俺なんか、選んでよかったのか?」

ティキが至近距離で私を見つめて艶やかな声で私に問いかける。

ティキは、本当たまにネガティブ…

「ティキなんかじゃない。
ティキだから、こんなに強く求められたんだよ。

それとも……私が選んだの嫌だった?」

少しだけいたずらっぽくそう問いかけるとティキは、怪しく笑って私に深く口付ける。


甘く甘く甘く
私の舌を侵していく彼の舌に自分の舌を絡ませると高揚した頬が目に入った。













『今日だけは俺だけののもんでいろよ』
初めての舞踏会の日、貴方は私に口付けた。

そうね、あの時踏み込まれた。
そして私は理性で抑えた演技で突き放したの。
そして、あのキスを引き金に、どんどんティキの存在は大きく大きくなっていって…

今は彼の温もりを感じることができることを幸せに思ってる。

「……なに?
最中に……考え事か…ッ?」

動きを止めて、頭から伝った汗を手の甲で拭うとティキは私の前髪をかき上げて額にキスを落とす。


その行為が私の思考に追い打ちをかけて…私の目からは涙が流れた。

この人が好きだと、この人のことを心から愛して居ると言える。

私が好きになった人がティキでよかった。


「っ…ティキのこと…好きになってよかったって……思ったの…

…愛してる…」

「よゆーねぇのに、色っぽい顔すんなっ……て…」


乾いた心に貴方の存在が染み込む

愛に溺れることを、恋に溺れることをこんなに……こんなに心地いいと思ったことは無かった…


心が空なら、溢れてくるこの感情はなに?


心に引っかかって絡まった何かが…ティキがくれる私への愛で一つ、二つとほどかれていく。


「…っつ!
歌姫ッ……愛してる…」

その言葉を聞いて、何か言葉を返したいのに私には余裕がなくて…
ただ、ティキの背中に腕を回すことしかできない。


…私も愛してる…


そう思った瞬間に私の思考は真っ白になった。



愛してる人に愛を囁くことのできる幸せが。
愛してる人に愛される幸せが。
愛してる人と共に刻むことのできる時間が私を幸せへと導いてくれる。

例え辛い現実が立ちはだかったとしても、何かを犠牲にしなければならなくなるとしても、それが私を苦しめる何かだとしても…

今の私は強く生きることができるよ。

その事に気づかせてくれた。
幸せを教えてくれた貴方の事を愛しています。
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