世界の終わりと癒しの歌2

□【本編】お出かけ
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あの後皆でワイワイ朝食を済ませて私とティキは街へ出掛けた。


団服ばかり着て居て、元から普段着をあまり持って居なかった私の数少ない普段着は教団に置いて来てしまったからティキが買いに行くかと提案してくれたのだ。



一歩街へ出るとティキは人間の姿へ姿を変える。

ノアの彼も好きだけど私は結構人間のティキも好きだなぁと彼の横顔を見つめるとティキが視線に気づいたようにこちらを見る。


「なに?どっか変?」


「ううん。

人間のティキも好きだなって思っただけ」


素直にそう言うと少しだけ照れたように笑みを浮かべる彼。


「ふーん…歌姫は、俺にベタ惚れって事?」


「そういうこと」


さらに素直にそう言うと今度こそティキは撃沈したようにその場に座り込む。



「ティキ?」

「お前、変わった!

うわー、もうダメだ。

お前と居ると心臓たりねーわ…」


そんな彼を見て笑う私。


ごめんティキ…少しだけ計算だったりした。


心の中で謝って、先を急ぐように促すとまだ何かブツブツ言いながら後ろをついてくるティキ。


そんな彼に安心して、街をウィンドウショップするように歩いて居ると後ろにいたティキがいきなり私の手を繋いだ。


「仕返し。
少しだけ恋人らしーことしようぜ」


「ふふ、仕返しなんかじゃなくても手くらい繋げばいいのに…

恋人なんだから、恋人らしい事って言わなくてもいいのよ?」

休日、出掛けて来た恋人のように新鮮なこんな行動が私をドキドキさせてるなんて、ティキは気づいてないだろうな…

ティキ…仕返し大成功よ?


言ってなんてあげない言葉を心の中でつぶやくと彼は何かを見つけたように私の手を引いて歩き出す。


「いーこと思い出した。」


「え?」

訳がわからないまま、ティキにつれられて向かったお店は小さな小さな雑貨屋さんだった。


洋服じゃなくて雑貨屋さん?と思いながら彼に言われるままついて行くとウィンドウに飾られた小さな箱が目に入る。


「これなんだかわかる?」


「箱?」


「ははっ…ちげーよ。
中身中身」

見たままの事を言ったのに、ティキは吹き出して笑う。

少しだけ恥ずかしくなって、ティキの手を潰す勢いで強く握った。


「いっ!いてっ!

ちょっ…まてまて!
種明かしすっから」

その言葉に少しだけ機嫌を直して手の力を弱めると彼は安心したように店の中へ足を進める。


「これな、中見てみろ」


店員さんに許可を得て、箱を持ち上げると何だかずっしり重くて、
予想すらできなくなってしまう。

オルゴールだと思ってたけど、違うみたいと思いながら言われるがまま箱の蓋を開ける。


そこには色んなアクセサリーがぎっしり詰め込まれていた。

シンプルなネックレス
ブレスレット
指輪
ピアス
髪飾り


数えきれない程のアクセサリーの数に私が口を開けるとティキは、私の頬に口をつけて微笑んだ。


「お前が教団に居る間とかにさ街で見かけたお前に似合うんじゃねーかって思ったアクセサリー全部買ってここの店に預けてたんだ。

お前が帰ってきたらやろうと思って。

箱も俺チョイス…少し重いか?」


嬉しくて、声がうまく出せなかった。

ティキが選んでくれたと言う数々のアクセサリーは、全て私の好みで、彼がどんな顔をして選んで買ってくれていたのかそれを思うと胸がいっぱいになって涙が流れそうになった。


私が家族と仲間の間で迷っていた間も、家族に刃を向けた時間もティキは、こんなにも私を思って、信じて待っていてくれたんだと思ったら、胸が熱くなって、
胸の熱は目頭に移動してついに涙になって瞳から落ちる。


「泣くなって……


おやじ、預かっててくれてありがとな。」

ティキは私をなだめながら店の店主にそう告げる。

店主は、70くらいのお爺さんで…
椅子に座りながらお客さんをただ待っているようで、無口で優しそうな印象を与えられたそのお爺さんは、私とティキが店から出るとき声をかけてくれた。


「お兄さん…愛しの女性が帰って来てくれてよかったね。
やっと、渡せたじゃないか」


その優しい笑顔に私は頭を下げて笑顔でお礼を言った。



ティキ、貴方が与えてくれたものは私の中で宝物よ。

感情も、アクセサリーだって、私の中で光り輝いてるの。
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