空高く
□Re トライアングル
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中学校の時の徹と岩ちゃんの卒業式。
あの日私は徹に告白された。
いや、あれは告白ではなかった気がするけど『好き』という趣旨が伝わる会話だったと思う。
そして、私は岩ちゃんに告白しなかった。
あの時私は確かに岩ちゃんが好きだった。
でも、どうしても岩ちゃんと付き合う未来は想像できなかったし、してなかった。
徹も『好きです!付き合ってください!』って言わなかったところを見ると付き合うところまでは考えていなかったんだと思う。
それからの私は恋愛というものに無頓着になってしまった。
バレーをするから、周りに男の子は多かった方だけどその中で好きな人はおろか気になる人すらできたことはない。
三日前の夜、徹はもう一度私に『好き』と言う意味の言葉を伝えてくれた。
中学校の時には感じることのできなかった『付き合いたい』という感情が今度ははっきりわかった。
でも私は笑って誤魔化した。
それは岩ちゃんと徹と私で成り立つ《幼馴染》という関係が崩れてしまうと思ったから。
私は心底この関係に甘えていると思う。
でも、それがわかっていてもこの関係だけは壊したくない。
「名無しさんー!
一と徹来たよ!
降りてらっしゃーい!」
「はーい!
今行く!」
岩ちゃんに彼女ができても。
徹に彼女ができても。
私に彼氏ができても。
この3人の中の誰かと誰かが付き合わない限りこの関係は続くと思うから………
私達の関係の隙間を4月終わりの風が吹く。