空高く

□青空
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1日も後半に差し掛かった5限目。
お昼のお弁当を食べて満腹になった私は、一生懸命『眠気』という敵と戦っていた。

「〜であるからしてこの訳はーーーーーーー」

ダメだ。もう先生の言葉がわからない。
…………限界……



望月名無しさんlog out。


「ね、ツッキー名無しさんちゃん寝てるんだけど起こしたほうがよくない?」

英語の授業でノートをとっている僕に山口が小声で話しかけてくる。

確かにさっきから斜め後ろの席の奴が寝ているが、僕には関係ない。
毎回思うけど、授業中常に寝てるといっても過言じゃないこの人がなんで僕より頭がいいのか謎だ。

「いや、でも先生めっちゃ睨んでるし起こしてあげてよ!」

珍しく引き下がらない山口にため息をついて斜め後ろの席に手を伸ばすと名無しさんの寝顔が見えるピンポイントだった。

あー、黙ってれば可愛いのにね。
なんて、歯切れの悪い嫌味を頭の中で考えて静かに肩を揺らす。


「ちょっと、起きて。
……睨まれてるんだけど……」

起こそうと思って体の向きを変えた僕にまで視線が突き刺さる。
本当勘弁してほしい。


「ーんー、」

「んーじゃないよ」

「…………」

「はぁ……」

起きる様子のない名無しさんから視線を移して先生に言葉を投げかける。

「すいません。
望月さん体調悪いみたいなんで保健室連れて行っていいですか?」


自分でも思う。
完璧眠気に負けたこいつを『病人』なんて言うのは無理があると。

でも先生は色々考慮してくれたのか、了承してくれる。

席を立つ前に山口に『ノートきちんと取っといてね』と伝えて名無しさんの席の横に立つ。

保健室に行くと言ったのはいいがどうやって連れて行く?
横抱き?いや、恥ずかしすぎるでしょ。

「ねぇ、保健室連れて行ってあげるから乗ってよ。」

「んー、ベッド?」

「そうだよ。だから早く乗って。」

寝ぼけてるのか目をこすりながらもそもそと背中に寄ってくるこいつに、少しだけ可愛いと思ってしまったのは僕の不覚だ。

「じゃ掴まっててね。
落ちて怪我しても知らないよ。」

「んー、」

落ちないように僕の首にぎゅっと抱きつくのを確認してから僕は教室を後にした。



教室から出てきたのはいいけど、保健室入れてくれないよね……だって後ろのこいつは爆睡だもんね。
サボりってバレるでしょ。

しょうがなく屋上への階段を上っていく。
鍵がかかっていない少し重めの扉を開けると暖かい日差しが僕等を包んだ。



そう言えば……前に王様が名無しさんを背負ってた時『軽い』って言ってたっけ?


本当軽すぎなんじゃないの?



名無しさんを壁にもたれかけさせてから、自分の上着を脱いでかけてやる。

あー、ケータイポケットに入れてて良かったななんて思って音楽が流れるヘッドフォンをつけた。




《ツンデレMBと安眠WSの昼下がり》
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