空高く

□合宿【前夜】
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「そういや、名無しさんはゴールデンウイークの合宿くるの?」

練習の合間の休憩中、私は驚くべきことを日向に聞いた。

「はい?合宿?なんじゃそら」

「あれ!?合宿の事言ってなかったっけ!?」

まだ男子バレー部の練習に参加しだしてからそんなに日が経っていない私は合宿の事を聞いていなかったのだ。

澤村先輩は、汗をぬぐいながら私にそう言った。

「あー……はい。
初耳です。」

焦る澤村先輩に、青ざめる武田先生。
武田先生が青ざめているのはいつもの事だが、澤村先輩が焦っているのは本当に貴重。

「合宿……明日からだけど大丈夫?
来れそう?」

きっと、澤村先輩が心配しているのは昼間の練習の事じゃなくて夜のことだろう。
私や飛雄の家は烏野から離れているから合宿中、泊りになることを案じてくれているのかな?

でも、合宿とかは中学の時多かったしきっと親も許してくれる。

「父も母も許してくれると思います。」

そう告げると、澤村先輩は何か別の事を案じているような顔をして下を向いてしまう。

あれ?親の事じゃないのかな?そう考える暇もなく口を開いたのは飛雄だった。

「いや、及川さんと岩泉さん大丈夫なのかよ?」

その言葉に無言で頷く澤村先輩。

あー、その事は考えてなかった。
親よりあの2人の方が難関だ。

まだ男子バレー部で練習している事も言ってないし、まして男子バレー部と合宿なんて……
2人の口から魂的な何かが出ること間違いなしだろう。


「……今夜話してくる。
まぁ!無理でも来るから安心して!
澤村先輩!私行きます!
その予定でお願いしゃっす!」

そう言うと澤村先輩は心配そうなぎこちない笑顔を見せて了承してくれた。

大丈夫!
あの2人は心配症だけど、話せばわかってくれる!

そう意気込んで練習をこなし、私は家路に着いた。
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