陽炎

□もうすぐ
1ページ/1ページ


師走という文字そのままに、12月は終わりを迎えようとしている。この一年、めまぐるしく過ぎて、色んな事があった。
メカクシ団の奴らに逢ったことで俺のヒキニート生活はプチヒキニート生活となった。
あれだけ嫌で嫌で仕方なかった人との関わりも、今では大切な物になって…。俺がこう思えるのはやはり今俺に後ろから抱きついてる緑の物体のおかげだろう…いや待てなんで完結してんだ俺。待て待ておかしいだろこの状況。このくそ蛙重いっつーの。うわぁぁやめろ顔を擦り付けるな!というか…
「いい加減にしろォォ!!!!!!!このバカセト!!!!!!!俺が1人瞑想にふけってるときに邪魔すんな!!!!!!!」
「痛い!!シンタローさん引っ張らないでくださいっす‼」
「いいから抱きついてるのを今すぐやめろ‼…⁉やめ、やめろ阿保!変なとこさわんな‼‼」
「だってシンタローさん構ってくれないんすもんんんん」
こいつは図体でかい子どもか⁉
「あんまうっさいとキド呼んでお前強制送還してもらうぞ⁉」
「あああ⁉嫌っす‼すみません‼シンタローさんといたいっすううう」
ふん、これでいいだろ。てかリビングで騒ぐなよ。モモも母さんもいないからいいけどさ。
部屋に携帯を取りにいこうと、立ち上がった。
「え⁉シンタローさん何処行くんすか⁉」
「部屋だよ部屋‼…あ、も、戻ってくるわバカ犬‼‼!!!」
ダッシュで階段をあがって俺の部屋へ。
「ああもう……めんどくせえ…」
部屋行くって言っただけであんな犬みたいに寂しそうな顔するとかほんと……やりづらい。
「かと言って満更でもないんでしょ?ご主人」
「………きいてたのか」
「きいてたも何もご主人だだ漏れですよさっきから」
「………しにたい」
「はぁ…。大体もっと素直になったらどうですか?そんな意地はって…ああご主人ツンデレでしたもんね」
「やめろ俺はツンデレじゃねえ」
「だーかーらー!もっと素直に甘えてこいって言ってるんですこのヒキニート!!!!!!!!!」
ちょっとぐさっときた。…ちょっとだけ。
「……それができたら苦労しねえよ……」
「シンタローさん何か大変なんですか?」
「いやそんな事は………ってえ⁉は⁉なんでお前いるの⁉」
「いや、遅いなーと、思って…」
「……おとなしく待ってろよ…」
気が動転しすぎてたな。こいつに全く気がつかなかった。……エネお前何笑ってんだよえ、何お前気づいてたの嘘だろ。
「シンタローさん?シンタローさーん?」
「あ、お、おうなんだ」
「大丈夫っすか?体調でも悪いんすか?」
「い、いや違うから…気にすんな」
……はやく逃げたいこの状況やだ。
「シンタロー、さん」
「なんだよ」
なんだよお前なんでそんな顔してんの真剣そうに……どん!…どん?え、なに押し倒してんの
「せ、セトお前何して……っ」
「………」
え、なんで無言⁉ちょ、新年早々腰痛いとか俺やだよ⁉うおおおおどけええええ
「せ、とまだ…昼間……っ‼」
「……シンタローさんはいつまで俺を放置する気っすか……」
「は…?い、やそんな事…!」
こいつ怒ってんのか、飼い主に構ってもらえなくて?だめだなその飼い主…って俺か‼え、放置してたら俺にこうやって帰ってくんの⁉めんどくさ‼
「だ、からって…ヒッ!…昼間っからやめ、ろ…っ!」
「…シンタローさんが、俺を放置するから…」
あ、拗ねてんのかこいつ。あー、はいはいそーゆうこと…。このままヤられる訳にはいかない。頑張れ俺!
「セト……」
「…なんすか」
その拗ねた顔に手を伸ばす。髪を少し撫でて、
「…ごめんな」
そうするとたちまち元気になって俺の首元に顔を埋めた。
……単純。でもこれで一安心…とか思っていたのも束の間、
「…ひゃ⁉お、おいセト…!舐める、なぁ…っ!」
「すみませんっすシンタローさん。なんか貴方見てたらムラムラしてきたっす」
「い、いやだからまだひる…っ」
後半はセトのキスによって塞がれた。くそう。
けっきょく俺はセトに食われました。そして新年早々、姫始めだとか言って俺がまた食われたのはまた別の話。

[戻る]
[TOPへ]

[しおり]






カスタマイズ