白球を追いかけて
□第1話「追憶」
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〜幼稚園〜
ある日の天気がいい昼下がり・・・
私は一人、グローブとボールを持って公園にいた。
(夏美にキャッチボール教えるつもりだったのに、風邪ひいて遊べないなんてなー。)
いつも一緒に遊んでいる幼馴染は高熱で寝込んでいる為、今日は遊べなくなってしまった。
『しょうがない。一人で壁相手に練習しよう。』
最近兄達のの影響で野球を始めた為、本来なら夏美に野球を教えてキャッチボールをするつもりだった。
しばらく一人で黙々と練習していると・・・
「おい。」
『・・・はっ?』
振り返ると一人の男の子が立っていた。
「お前野球好きなのか?」
『うん。兄ちゃん達がやってるから、私も最近グローブ買ってもらったんだ。』
「いつも一人でやってんの?」
『いつもは家で練習してるけど、今日は友達に教えようと思ってたんだ。
だけど、友達が風邪ひいちゃって・・・今日は一人だよ。』
「ふ〜ん。」
自分から聞いといて反応薄いな。
「しょうがないから、俺が相手してやるよ。」
『・・・はい?』
「だーかーらー、俺が相手してやるよ!!一人でやるよりいいだろ?」
そりゃそうだけど・・・
つまり、この子も相手がいないってことだよね?
『うん。一緒にキャッチボールしよう。』
「よしっ、決まりだな。俺、成宮鳴。お前は?」
『朝比奈栞。よろしくね。』
こうして、私の野球漬けの毎日がスタートしたのでした。