白球を追いかけて

□第2話「始まりの日」
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3月中旬・・・


私は今、青心寮の前にいる。


一昨日中学校を卒業して、今日から私は、青心寮に入寮する。
コーチ兼選手である為、他の新入部員よりも早目に入寮することになっていた。


「来たわね、栞さん。」

『礼さん!』

「あなたの部屋に案内するわ。付いて来て。」

『お願いします。』



初めて会った時よりも、随分親しげにしているが、
実は、スカウトされ、青道に進むことを決めてから何度か青道野球部に足を運んでいた。


女である私が、コーチ兼選手として入部する為、少しでも早く野球部にとけ込み、
入部してからすぐに動けるようにと、青道側から提案があり練習に参加していた。


私自身も、監督や先輩方に認めてもらえる為にも、練習に参加して、
グラウンドで実力と熱意を証明したいと思っていたので、嬉しい提案だった。


最初は了承しているとはいえ、不信感をいだいていた先輩も中にはいた。
でも、練習に参加していくうちに、徐々にだが認めてもらい、
今ではだいぶ信頼を得ることができた。


「付いたわ。ここがあなたの部屋よ。」


私の部屋は2階の一番奥の部屋だった。



「当然のことだけど、一人部屋よ。それと、女の子はあなた一人なんだから、戸締りはしっかりね。」

『わかってますよ。』



ガチャっ

礼さんと一緒に部屋に入った。

(おぉ、一人で使うには十分な部屋だ。)

(あっ、荷物届いてる。)


「午前中は荷物の整理をしていいわ。終わったら監督室に来てちょうだい。」

『わかりました。そーいえば、お風呂はどうしたらいいんですか??』

「大浴場を使ってもらうしかないから、悪いんだけど、
選手が入り終わってからでもいいかしら?鍵は付けておおいたから。」

『りょーかいです。』

「また何かあれば聞いてね。それじゃあ、また後で。」

『いろいろありがとうございました!!』


・・・・・

『さーて、荷物を片付けますか。』
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