にっし
□07/19 渡辺理沙
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彼氏と別れてばっさり切った髪の毛をとかした後、
ベージュのカーディガンをぎりぎりまで伸ばして手を隠す。
カーディガンてゆうよりベストか。とにかくみじかいやつ。
スカートはいつも通りの3個折り。
イケてる先輩の完成。
といっても部活はやめたから、見せる後輩はいないのだけど。
テニス部だった。美希と、奈々が入るって言ってたから入った。
運動は苦手ではなかったし、テニスは好きだった。
クラスでも三人で居ることが多かったし。
いつしかバスケ部の葵とバド部の瑠璃子が加わって、
少しずつ、少しずつ
昼が夜に変わるように、ウチだけ浮かんだ。
そういうことかと気付いたのでしばらく一人で居た。
別に四人に恨みとかは無かった。
しばらくたったある日の放課後に玄関で、
奈々がごめんね、と呟いたのを覚えている。
その言葉に救われたのも。
なんて答えたのかは、あまり覚えていない。
ただ涙をこらえたことは、ぼんやりと思い出した。
これもいつからかわからないけど、真綾と一緒に居ることが多くなった。
意外と明るい、んで男子との絡みもある。
壁はあるものの二人の間に気まずさはない。
「真綾、ばいばい」
ウチが真綾に小さく手をふると、
ワイシャツの中から細い腕をのぞかせ、ふりかえされた。
そのまま階段を駆け下りる。
音楽プレーヤーから聞こえる声は相変わらず西野カナで。
失恋ソングなんか聞いちゃってる自分が女々しい。
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