にっし
□07/19 石井美希
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空斗はかっこいいしバスケも出来る。
多少チャラいけど積極性もあって女慣れしてる。
が、葵の男。そしてタイプじゃない。
玲也はお調子者だけどまあかっこいい。
顔だけだったら多分空斗より。
性格はあまり良いとは言えないので却下。
悠次郎はアリだと思う。
あの4人の中では比較的真面目で、学級委員だし。
髪も染めてない。しかもサッカー部だ。
しかし恋に興味はあるのだろうか。噂を聞いたことはない。
龍はー。
「奈々のー…」
「いきなりどうしたん？」
瑠璃子が笑う。思わず声に出してしまった。
私はいや、なんでもないねん。と笑い返した。
奈々が少し目を細めた気がした。
龍と奈々が付き合っていたというのは有名な話。
あの4人の中ではいじられキャラとして定着していた龍に
初めての彼女(しかも可愛い)が出来たのだ。
空斗や玲也が思う存分イジり倒していた。
時には先生の前で「おい、奈々」と龍を呼んだりして、
顔を真っ赤にしていたのを覚えている。
奈々から告白したというのは意外だったが、
みんな龍が告白したと勘違いしていた。
二人は幼馴染だった。
1ヶ月ほど前に、いつも龍と一緒に帰っていた奈々が
一緒に帰ろう。と寂しそうに言ってきた。
なんとなく聞けずにいた。
いつしか空斗や玲也もイジることはなくなり、
二人が楽しそうに話していたのも、
もう過去の話となっていた。
故にこの話題はタブーである、とされている。
「悠次郎やろ、フツーにね」
「あー悠次郎ね、わかる」
「あの四人だったら断然悠次郎」
瑠璃子が断言する。奈々も笑っていた。
空斗の扉を勢いよくあける音と、
捕まえろという玲也の声、
机を蹴り倒す龍の足、
そんな龍にスリッパを投げつける悠次郎の顔。
全部が全部なんだか幼稚くて、笑ってしまう。
「なにやっとんねーん」
奈々がめずらしく男子に声をかける。
ああ、なんかいいな。
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