にっし

□07/21 九十九瑠衣
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「集合!」

「ウーイ!」

揃った野太い声。

コーチの前に、先頭俺、隣立樹、

三年がその隣に並んで、下級生が後ろ。という

根南特有の並び方で、きちっと整列する。

「んじゃ公式戦のメンバー発表すっから。」

その言葉が、ずしりと俺の肩に乗った。

「三年最後だから優先、とかいうのは今まで通りなしで行く。

本気で勝つつもりだからな、いいか?」

コーチの標準語に、三年が揃えて返事をする。

いつまで経ってもこれだけは慣れない。

…多分、今一番緊張してんのは、

龍だけど。

「まずレフト、吉田玲也」

「!…ウィス!」

横を見なくても、玲也が喜んでいるのはわかった。

センター、ライト、と二年の名前が上がって、

次がショート…遊撃手。

手汗が気持ち悪い。

コーチの口が小さく開いた。

「ショートは、九十九。お前でいいな」

「…っウィス!」

なんとなくわかっては居たけど、それでもやっぱり嬉しくて。

地区予選の広いグラウンドを思い出す。

サード、セカンド、ファースト、と名前が上がる。

その中に龍の名前はなくて。

目だけで隣を見る。龍の額には汗が浮かんでいた。

でもどこか清々しいような。

自信のあるような笑みを浮かべていた。

「捕手は安田立樹」

「ウィッス」

あの時みたいなニッとした笑顔。

そして、次がピッチャーだ。

二年の時も一年の時も、呼ばれたのは大地の名前。

「ピッチャーは、」

でも今年はー。



「岡島龍」

龍の名前だった。

「ッザース!」

龍は拳を握りしめていた、

「以上!」

「全員!コーチに一礼!ざーした!」

「ざーしたー!」








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