うたひめ

□海の女神と眠りし君
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とある島についたシーフは
島の裏側に船をとめ裏口を使い宮殿の中に入る



「シーフ様だ!!」

「元気そうで何よりです!!」



シーフの姿を見たもの達が
歩みを止めないように側に集まる

シーフもそれに笑顔で答え、宮殿の最上階へと向かった



宮殿といっても
赤い絨毯がしかれ大きなシャンデリアがあるような豪華な内装ではない

綺麗に清掃はされているものの
いたって普通の屋敷のようだった



上の階を目指しある部屋に入る



「……お帰り」



『ただいま……トール』



会議室のような広い部屋には
黒髪の男、トールがいた

部屋の中に入り
トールの側まで歩こうとすると
トンと背中に小さな衝撃が走り
誰かに抱きつかれたのだと確信する



「お待ちしておりました
シーフ様…!!!」


『…ただいま、イズーナ』



シーフよりも少し幼いおかっぱの女性は抱きついたまま離れない

小さく鼻をすする音が聞こえ
泣いていると感じたシーフは
お腹にあるイズーナの手を温かくつつむ



『……心配かけてごめんね…
もう黙って出て行ったりしないから……』


ト「イズーナ、話を進めていいか」



再会の余韻に浸る事なくトールは言うと
イズーナはシーフからやっと離れ
トールの近くに立つ

シーフもトールの側に近づいた




『‥何をすればいいの』


ト「見てるだけさ」


『?』








ト「白髭さんと海軍の戦争を」




『????!!!!!!!』






シーフは状況が読み込めないまま
眉間にシワを寄せトールとイズーナを交互に見る





ト「‥何をしていたんだ」




『…オーディンを助ける方法を探してた…結局見つからなかったけどね』





その事実を知ったトールとイズーナは一瞬大きく目を開き
そのあと小さく微笑んだ





裏切られてない





心では思っていたが
本人から直接言われた事で
今まで抱えていた不安がすっと消えていった





『戦争ってどういう事?』
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