うたひめ
□背中を押す愛しき人
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宮殿から少し離れた
海を見渡せる丘にオーディンとレナはいた
二人の長い金色の髪がゆらゆらとゆれる
火照った身体には気持ちのいい
少し冷たい風が吹いていた
オ「‥何だよ歌わないのか?」
長い沈黙を破ったのはオーディン
『歌えないよ』
下を向き
小さい声で切なく呟くレナ
離れていた二人の間を
オーディンが近寄って埋める
オ「悩んでんのか?」
近い距離で言うとレナは顔をあげ
まっすぐオーディンを見つめた
『‥わたしの事嫌いになったの?』
――だからわたしを行かせるの?
オ「好きだよ」
『だったらなんで…』
オ「お前の1番は今ゾロなんだろ?」
――――ゾロ
確かにわたしの中にはゾロがいる
でもねオーディン
『‥わたしは裏切れない』
オ「‥」