うたひめ

□背中を押す愛しき人
4ページ/7ページ


宮殿から少し離れた
海を見渡せる丘にオーディンとレナはいた


二人の長い金色の髪がゆらゆらとゆれる


火照った身体には気持ちのいい
少し冷たい風が吹いていた



オ「‥何だよ歌わないのか?」



長い沈黙を破ったのはオーディン


『歌えないよ』



下を向き
小さい声で切なく呟くレナ


離れていた二人の間を
オーディンが近寄って埋める



オ「悩んでんのか?」




近い距離で言うとレナは顔をあげ
まっすぐオーディンを見つめた




『‥わたしの事嫌いになったの?』



――だからわたしを行かせるの?




オ「好きだよ」


『だったらなんで…』



オ「お前の1番は今ゾロなんだろ?」





――――ゾロ




確かにわたしの中にはゾロがいる


でもねオーディン





『‥わたしは裏切れない』


オ「‥」
次へ
前へ  

[戻る]
[TOPへ]

[しおり]






カスタマイズ