うたひめ

□重なるこころ
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ゾ「どこまで行くんだ?」


『お気に入りの場所があるの』


ゾ「…」



黄昏の宮殿よりも高い位置

宮殿のまわりには小さい町が見え
木々が立ち並び大きな海が広がる

丘に石で出来た歴史を感じる幻想的な屋根のあるベンチに近づく



『どう?素敵な広場でしょ?
ここで歌うのが好きなの』


ゾ「そうか」




手を広げてくるっと見渡すレナ




レナはゾロに背を向け
一点をじっと見つめる




『‥わたしの話、聞いてくれる?』


ゾ「‥」





『…小さい頃わたしは
オーディンに救われたの


彼はわたしに居場所をくれた

彼がいるから今のわたしがいるの

どんなに月日がたとうとも
わたしの中から彼を消すことはできない』




レナのオーディンに対する思いが伝わる



サイク海賊団と戦ったときに言った言葉


夜に海を見つめながら歌う姿




その全てがオーディンに向けられたものだと思うと


ゾロの入り込む隙間は全くなかった




『でも…』



振り返りゾロを見つめる


その表情は今にも泣き出しそうだった





『気づいたらわたしの中にゾロがいた…


ゾロが告白してくれたとき
ほんとは嬉しかった…


でもわたしはオーディンの女……


ゾロを忘れようとしても出来なくて…


オーディンも裏切れなくて……』



メリー号に乗って初めて泣いた日



その時の思いが甦る




オーディンの目を覚ます方法を探すため
皆に黙って島を出た


わたしの所為だから自分で責任をとる



仲間はレナの所為だとは誰も思っていないのに
いてもたってもいられずの行動だった


それからは孤独の日々


姿を隠し
海軍に怪しまれ
海賊に狙われながら



弱音をはかずに
希望だけを信じて旅をした



そしてゾロへの想い





『オーディンが悪いんじゃない…!

優柔不断の最低な私の所為……!!



それでも


ゾロが好き




オーディンを愛してる

彼を守りたい




それでも今は








ゾロのそばにいたい』





涙が止まらない






『こんな私でも

好きでいてくれますか?』








ゾ「‥レナ」


『?』











ゾ「俺の女になれ」


『!!‥……はい』
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