Event 1

□夏の友
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「ちょ…!」

「うっわ―――!!!
咲ちゃん超可愛い〜!」


秋羅が珍しく固まって、冬馬がやたらと
はしゃぎ捲った咲ちゃんの水着姿。

…その姿は俺らにはとっても刺激的で。

いや、うん、似合って無い訳じゃない。
それ所かめちゃくちゃ似合ってる。
冬馬じゃないけど超可愛い。
いや、もう堪んない程。


ブラは胸元に白いレースが段状になって
谷間とかは見えないんだけど、彼女の
ボリュームのある胸が更に強調。
そのふわふわのトップの下に細腰。
それだけでも、男からしたら…かなり
クるのに、下のショーツは横が紐?!

その…男性誌によくあるエロいグラビア
みたいに際どい紐パンでは無いにしても
…紐?!


そんな、俺が恐慌状態になっている間に
冬馬に言われてくるりと回って見せる
咲ちゃん。

後ろだってちゃんとあって(所謂Tバック
とかじゃなくて)ブラ部分も背中には
ふわりとレースが1段。ホルターだから
肩紐の幅広リボンでかなり隠れちゃって
いるけど、動く度にチラチラと見える
白い背中は絶品で。

…でも下は黒の紐パン…。


駄目だって思いつつも、俺だって男。
ついつい目が行ってしまう。


――拙い…。


咲ちゃん越しに秋羅と目が合う。
お互い、何か気まずい。


――彼女が俺のだったらこんな姿、
こいつらに絶対晒さないのに!


そうは思うけど、彼女はまだ誰の物でも
無くて。そんな事逡巡してる間に冬馬が
彼女の手を取って、海に向かって駆けて
行く。


「あっ、待てって!」


――冬馬と2人きりになんて
させてなるものか…!


あのケダモノが、咲ちゃんのあんな
姿見て、指咥えてるだけだなんて絶対
無いから!

そう思って、俺も駆け出す。
2人に向かって。




***



咲が秋羅に駆け寄り、頭を無造作に
くしゃくしゃと撫でられている様子は
いつもの通りで。

俺は照りつける太陽の下、何気に彼女が
パーカーを脱ぐのを目で追っていた。

水着が着たいと言って今回スチル撮影に
同行した咲。普段の彼女ならそんな
簡単に冬馬の誘いに乗って来なかった筈
だが、楽しみな旅行がキャンセルという
タイミングと、どうしてもその水着が
着たかったのだろう、その極めて女の子
らしい理由に微笑ましさすら覚えていた


だが。


まさか、その水着があんなにも刺激的な
物だとは。

…いや、下品と言う訳では無い。
よく雑誌や新聞で目にする、その手の
女性が着ているような際どさは無い。

…しかし、大きく開いた背中。
頼りないレースで覆われた胸元。
更には紐で結ばれただけの下。


思わず周りを見回すと、日本では無い
せいもあり、砂浜にはかなり際どい…
中にはそれは公共の場で着てもOKか?
と言う程の水着姿が溢れている。

咲の着ている水着など、全然露出も
少ないくらいだ。


だが。


柔らかな肉感が、その水着の際に微かに
盛り上がり、また白く抜けるような肌は
滑らかで。

強い日差しを弾いて光っている。


そんな彼女を冬馬が手を引き走り出す。
慌てたように夏輝が後を追う。

俺はどうしたものかと、足を踏み出し
かけた時、さっきとは逆に咲が
冬馬と夏輝を引っ張って、こちらの方に
歩いて来た。


「…どうした。」

「日焼け止め塗らないと!こんなにイイ
お天気ですし、これじゃすぐ焼けて肌が
真っ赤になっちゃいますよ。」

「日焼け止め?」

「はい!持って来ました!皆さんの分も
充分あるので背中お塗りします!」

「わーい!じゃあ咲ちゃんの背中は
後で俺が塗ってあげるね?」

「お願いしますね。」

「「「ちょ…っ!」」」

「?」

「キヒヒ、早いもん勝ち!」

「させるか!」

「…咲ちゃん、悪い事は言わない。
塗るのはまだ春か夏輝にお願いしろ。」

「え?」

「あっ秋羅てめっ!」

「俺が塗るって言わないだけマシだろ」

「…俺が塗ろう。」

「あ、お願いします。」

「ちょ! 春!」

「日焼け止めくらいで騒ぐなよ…。」

「???…とにかく皆さんで日焼け止め
塗りっこしましょうか。」

「えー、俺咲ちゃんに塗って欲しい!
ってか咲ちゃんが塗ってくんないなら
日焼け止め塗んない!」

「ガキか!」
「じゃあ塗るな。」
「塗らなくていい。」

「塗らないと後が大変ですよ?日本人の
肌は皮膚が薄いらしいですから。ね?
はい、皆さん後ろ向いて下さい!」



結局俺らは咲の小さくも柔らかな
手で背中全面と肩に日焼け止めなる物を
塗られ。前は自分で、と各々の掌にその
液体を落とされ、腕やら顔やら上半身へ
と塗りたくったのだった。


「咲にも塗ろう。」


自分のを塗った後。
自身も手足や顔や前面部分を念入りに
塗っている彼女に近づく。


「あ、お願いします!」


くるりと背中を向ける咲。
首元の紐を除けると、その美しい背中が
露わになる。

滑らかなその肌。
ジェル状の日焼け止めで更に滑々と手が
滑りゆく感触が気持ちいい。


「…神堂さんの手って大きくて温かくて
気持ち良いですね。」

「…そうか。」


いつまでも塗っていたいのに、彼女の
小さな背中は直ぐに塗り終わってしまい
…思わず言葉が出てしまった。


「その首のリボンの下や水着の部分は
塗らなくてもいいのか?」

「え?…あ…あの、でもそこを塗るには
は、外さなきゃいけないので…。」

「焼けるのは嫌なんだろう?」

「ちょ…! 春っ!」
「うわ、春サマ積極的…。」
「春も男だったか…。」

「え、あの…!」

「大丈夫だ。押さえていたら見えない」

「ぅ、あ…はい…。」


「「「咲ちゃん?! 」」」

「ぅえ? だって…。」


結局俺は、パラソルの下腹這いになった
咲の背中全面を綺麗に塗り切った
のだった。




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