Event 1

□スペシャルDAY
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怒り心頭で京介を楽屋ん中、追いかけ
回してドッタンバッタン。


「こら! 翔! 折角貰った咲ちゃんの
ケーキがひっくり返ったらどうすんだ!
って言うか、京介! 翔に謝れ!」

「ホントホント大人気無いよねー。
それに味見するんならイチゴじゃなくて
咲ちゃん手作り部分でしょ。」


そう言って亮太までが俺のケーキの上の
デコレーションのクッキーをポイと口に


「亮太ぁぁぁぁ!」

「亮太!」

「あーあ、亮ちゃん…それはやっちゃ
ダメなヤツ。俺は選んでそうしなかった
のになー」


「……ほんとウルサイ。」


そんなんで今度はギャーギャー亮太と
騒いでたら、慌てた彼女の声。


「あっあのっ! 翔くんっ、流石に
イチゴは無理だけど、クッキーならまだ
あるからっ! そのデコレーション用に
焼いたクッキー、余りだけど皆さんに
お裾分けしようと思って持って来てる
からっっ!」

「ほらね。クッキー1個だけで焼く筈が
ナイでしょ。だからクッキー狙ったのに
やっぱ京介のがダメじゃん?」


そんな驚異の洞察力?で自慢げにふふん
と嗤う亮太をキッと睨みつける。

そんな俺たちに苦笑しながら、彼女は
そっと…さっきよりも少しだけ大ぶりな
クッキーをケーキに乗せた。


「ゴメンね、ちょっと不恰好だけど
コレならイチゴの穴も隠せるから…」


そう言って笑う。
京介や亮太のアイドルのくせに腹黒い
笑顔と違って、心底キラキラの可愛い
笑顔で。


やっぱり俺、咲ちゃんが好きだ!


そう強く思った。

バレンタインから1日遅れ、
俺だけの誕生日に必死に色々準備して
くれた彼女の、心憎いプレゼント。

そんなのを目にしながら。

だから、計画。
折角のバレンタインに被った誕生日。

俺、ホワイトデーに告白する。
咲ちゃんに貰った宝箱完成させて
中には彼女へのプレゼント入れて鍵して
彼女へと。

そう、そしていずれはペアの何か。
2つのクリスタルの宝箱、中身を変えて
2人の間を行き来してお揃いの物も、
そうで無いものも増やしていけるように

最初は小さなそれこそキーホルダーとか
ストラップやピンジャック、
そんな女の子が好きそうな小ちゃくて
お揃いか何か分かんない物から。

少しずつでも距離を縮めて
誕生日すら知られてなかったけど…
今日、ちゃんと祝ってくれたし

まだまだこれから

それにこんな日なら
きっともう忘れないはず。




ずっと不運な気がして仕方なかった
バレンタインの誕生日。
こんな手が使えるならこの日で良かった
…今はそう思う。


俺の、俺だけのXデー。
それはそれはスペシャルな日に。



「あっ、そうだ! 翔くん、ちゃんと
言えてなくてゴメンなさい。
『お誕生日おめでとう!』」



彼女から貰ったのはキラキラの笑顔と
祝いの言葉、美味しい手作りケーキ、

それから

未来を入れる宝箱。







Happy Birthday SHO KIRIYA
2016.02.14 xxx







end.

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