Event 1

□噂の人
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【噂の人】


とある夜中、親友の七海の家にて恒例の
秘密の女子会開催。

七海とあゆみは高校時代からの親友で。
今となっては、芸能人となった自分を
特異な目で見ない気のおけない大事な
人たちで。
(お友達は Novel【アマデウス】参照。)

女の子3人パジャマでお酒有の無礼講。
各々がお惣菜やアテを持寄り準備も
万端。

1人暮らしの七海の家は、沢山の本で
溢れ返ってはいるけれど、凄く居心地が
良くて。夜中通しで語るには丁度いい。



「お久しぶりの女子会にカンパーイ♪」

「久しぶり〜。」

「LINEは昨日もしたけどね。」

「あはは、それも久しぶりだったけど」

「咲の仕事柄仕方ないよ。」

「うん、ごめんね?」

「ってかさー七海が夜型だから仕事云々
じゃなくない?だってあたしもあまり
会えてないし。七海だよ、ネックは。」

「それもそうか。」

「午前休みでも会えないもんね。」

「あ、そうそう!咲のこないだ
出した曲、めっちゃテレビで流れてる!
ヒットおめでとう〜!」


チン♪
勝手にグラスを合わせて皆で二度目の
乾杯。何でも乾杯出来ればいいってのも
少しあって。
だけど咲は凄く恐縮しながら両手を
大きく振った。


「いや、私の力じゃないから!
神堂さんの力。凄いよ、神堂さん。」

「春かぁ…で、実際どうなの?」


缶チューハイのリンゴを片手にあゆみが
真面目な顔して訊く。
途端に目を丸くする咲と七海。
だがすぐに皺が寄った七海の眉間。


「え?」

「何、あゆみ!まだそれ言う?! 」

「あー違う違う!…って違くないか…。
だって春、カッコ良くない?そんなさー
イケメンと仕事しててトキメかない?」

「トキメくっていうか…」

「「うん?」」

「何よ、七海だって興味あるんじゃん」

「そりゃね。」

「…んー確かに神堂さん、
とっても恰好良くて…でも、目が」

「怖い?」
「エロい?」


咄嗟にハモる友人2人。
何のかんのと言ったって気になるのは
女の子の大好物色恋話で。


「っち、違…っ!」

「あはは、ごめんごめん!で、目が?」

「透き通ってて、全部見透かされそう
って言うか…。」

「やっぱエロい。」

「違うのっ!」

「ふふ、でもいーなーあの春と一緒に…
かぁ。目の保養〜!」

「ちょっ…変なトコで切らないで!」

「あはは、咲気にし過ぎ〜」

「もー…うん、でも確かに時々ドキッて
するくらい色っぽい時がある…かも。」

「きゃー!」

「…それってヤバくない?」

「ヤバくないから!」

「ふーん、でも気をつけないと、絶対
男は気付くよ? ドキッてしてんの。」

「え、ウソ!」

「いやいや、嘘じゃ無くて。」

「…あゆみ経験だけは無駄に多いから」

「無駄にって何よ!探してんの!
自分だけの王子様を!」

「で、あんなん引いてちゃダメでしょ」

「あんなん、て言わないで〜」

「…。」

「あ、ふたり共通か。」

「咲は高遠先輩とシてないから、
一応ギリギリセーフ?」

「して…って!! 」

「古傷抉らない。」

「あはは、ごめんごめん。
でもあたしも古傷だっての!」

「あーごめん。」

「いーよ、もう別の彼いるし。」

「しかも3人?」

「えっ?! 」

「違〜う!別れそうな彼と彼氏未満が
2人。だから実質二股してません。」

「…そうなんだ…。」

「咲には無理そうだなー」

「どう考えても、無理でしょ。
でもそのくらい強かな方が芸能界じゃ
生き延びれそうだけどね。」

「…うん、無理。」

「えーじゃあ、夏輝だけで終わり?」

「だけでって…。」

「折原さんも本気っぽいし、この先
折原さん以外は無理だろうね。」

「何『折原さん』って途端にご近所の
お兄さんっぽくない?」

「電話で直接話したから、何となく
呼び捨てし難い。」

「あー、わかるわかる!あたしも冬馬は
本人には『冬馬さん』だもん。」

「え?何、連絡取り合ってんの?」

「んー?あの事件の後、1回街で偶然
会って奢って貰ってメルアド交換した」

「冬馬さんらしい…。」

「ん?冬馬はどうなの?咲。」

「え?」

「エロ大王じゃん。
手ぇ出されたりしない?」

「そういう人じゃないよ?」

「えー、めっちゃ触って来ない?」

「そうなんだ?」

「うん、タッチが自然。」

「…確かにスキンシップはされるけど
そんなエッチな感じじゃ無くて…。」

「感じじゃ無くて?」

「子供みたいに無邪気で可愛いよ?」

「ぶふっ!こどもー?! 」

「うん?」

「マジ?! あの大男が?」

「咲に掛かるとエロ大王もカタナシ
…じゃー同じく女遊び組の秋羅は?」

「秋羅さんはすっごくオトナって感じ」

「うん。それは納得。」

「だから私みたいなお子様、
相手になんてしないよー。」

「へぇ…じゃあ咲のお相手は
夏輝だけって訳かー。」

「だからって訳じゃ無くて!! 」

「ふーん、ラブラブだもんねぇ?」

「…う…うん…。」

「うわーやってらんない!」

「妬かない妬かない!」

「どこがそんな好きなの?」

「優しくて…カッコ良くて…でも時々
可愛いの。大人の男の人なのに…で…」

「うわー、やっぱいいわ!
まさかあの咲に惚気られる日が来る
なんて!」

「はは、自分で訊いといて。」

「そーだよーあゆみー…。」

「あ、咲少し酔ってきてない?」

「…そうぉ?」

「「うん。」」

「そんなことないよ〜?」

「酔ったついでに訊いとくか。」

「変な事訊かないでよー?」

「なぁにー?」

「夏輝のエッチってどんな?」

「…あ、私も聞きたいかも。」

「え〜…? なつきさんの…?」



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