Event 1
□Share Pocky Dance
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【 Share Pocky Dance 】
(シェアポキダンス)
今日は久々の3時間公開生放送だなんて
番組に呼ばれて、久々に来たテレビ局の
最大スタジオ。
俺らは大トリだそうで出番は最後になる
から番組もすっかり始まった後に入って
そこで見掛けた、あいつ。
――咲。
もう俺とは付き合って暫くになる。
公表はまだだけどな。
でも極一部だけど業界内で知ってる奴は
知ってるって状態で。
そんな咲が…スタジオの隅っこで
Waveメンバーとわちゃわちゃやってる
のを見つけた。
俺の方が先に気付いてはいたものの
俺が何の反応も示さなかったせいで、
冬馬が先に見つけたつもりんなって
俺の肩をバンバン叩きやがるから。
「…ってぇな。」
「あんだよ、クールぶっちゃって！
ほら、咲ちゃんがあのガキ共と！
…って…え、あれ何やってんの？」
「あん？」
咲はガキんちょ共に囲まれて何か…
ダンスみたいな事してやがる。
ダンスみたいな、ってのは…こっから
見てる限り、あいつはWaveの中心で
ピョコピョコ跳ねてる様にしか見えねぇ
から。
――何やってんだ…？
Waveの連中はピョコピョコやってる
あいつの周りで、えれぇイイ顔で笑って
やがって、あいつはと言えば一人真剣に
あいつらに何か尋ねてはピョコピョコ。
「あれって、○ッキーダンス？」
「は？」
「ほら今年はあの菓子って咲ちゃん
じゃ無くて、男性ダンスユニット起用
してるだろ？ 確か彼らのダンスが今、
巷で大流行してんじゃなかったっけ？」
そう言ったのは夏輝。
そう言われれば…
「…ああ、そういやそんな事が…」
そう、数年起用されていた咲は漸く
今年○ッキーガールを卒業で。
丁度○ッキーの日とされる俺の誕生日、
去年も○ッキーカーに乗り…関東一円
ぐるっと○ッキー行脚なんてのやってた
あいつは申請してても休めなかった。
…まぁ今年もこの大番組開催でどのみち
今日の休みなんか、あいつと俺どっちも
取れなかったんだけどよ。
かと言って、ずっと彼女を起用してた
かの菓子メーカーは咲を降ろしたと
言うより、メーカーとしては社会的に
好印象の彼女はキープしておきたいって
のが実際みてぇで。新たなイメージで
革命は起こしつつ、今の良いイメージも
保持したいってトコだろう。
あそこの菓子のCMは若手にとっちゃ
大きな登竜門だからな。新たな人材捕獲
なら引く手数多だろうし…何より、かく
言う彼女もあのCMで知名度が上がった
一人なんだから。
それが今や…彼女は若手トップの人気で
あのメーカーの人気菓子数種が咲を
CMやイメージキャラで使ってるから、
彼女は今ではすっかり、あのメーカーの
菓子と対のイメージになっちまってる。
これは俺の持つ印象ってだけでなく、
確実に社会的にも。
そんな人気菓子の代表みたいな、あの
細長いチョコレート菓子は今年、人気
男性ダンスユニットを起用してて。
実際、去年新商品で出たビターなヤツ
なんかは普段はあまり菓子を食わない
連中にも人気で。BARを経営する友人
からも酒と合うのだと評判を聞いてた。
元気で可愛い甘い菓子のイメージで起用
されてたらしい咲も、そのビターの
発売時にはちょっとビターで大人っぽい
CMキャラに変身して、一連のCMは連日
話題になって騒がれてた。
そんな好評のCMシリーズ。
今回ガラリと様変わりしてて。
…って、そんなんはどうでもいい。
その今の男性ダンスユニットが踊ってる
ダンスをなんであいつが練習してんだ？
しかもあのユニットとは関係のない、
Waveの連中と。
しかも、そんな可愛くピョコピョコ
しやがって。
*