Novel


□Memories DAY
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「…で、結局二人とも同じ小学校でしかも
一緒に帰る仲だったって事?」

「そう!」
「一緒に帰る、って言うか…帰り道がよく
一緒になって声掛けてくれてたんだよね?」

「…ッ、俺はっ」
「この写真の頃? …この写真の翔ちゃんと、
この写真の咲ちゃんかぁー」


ツイ、ツイ、と小学生の私と翔くんの写真を
並べる京介くん。その周りには皆さんの今日
持参してた写真がまだ散らばっていて。


「あれ、これもその頃?」

他の写真の下から引っ張り出された、
1枚の写真。

そこには、やはり笑顔の翔くんと、もう1人
よく似た活発そうな男の子。お顔に絆創膏で
他には木の枝を持っていて、もうそれだけで
どれだけワンパクなのか見て取れる男の子。


「――あー…、コイツ幼馴染の正太。
ほんっとイタズラばっかでさー、コイツと
遊ぶといっつも大人に追いかけられてばっか
だったんだよなー…。良く一緒に居たし、
名前も似てるから先生にもよく間違われて」

「………え、あれ……??」

「咲ちゃん?」


その写真見てたら、さっき思い出した筈の
記憶が混乱。ちょっと乱暴でいじめっ子の
ショウくん? …それは、もしかして…。


「――咲ちゃん、もしかして…
さっきのいじめっ子?の記憶、
このショータくん…だったり?」

「えっ、アッそうかも!! 翔くんごめん!
あの意地悪な子はショウくんじゃなくって
ショータくん、だった…かも…!」

「この期に及んでまだ『かも』って…
咲ちゃん…www」


プルプルと肩を振るわせ突っ伏す亮太くん。
指が震えるほど笑いながら…小学生の私の
写真と翔くんの写真の間にショータくんの
写真を置く京介くん。

目を見開いた翔くんと何とも言えない様に…
困った顔で翔くんと私を見比べる、一磨さん。

大きな溜息を吐いた義人くんが手際良く
それらの写真を集めて、その写真でカード
ゲームをするが如く其々に纏めて返却して
行く。


「ご、ごめんね? 翔くん、…私あんまり
記憶力が良い方じゃなくて…っ、それに
意地悪だったショータくんと一緒に居て、
確かいつも優しくしてくれた男の子が居た
のも何となく覚えてるよ! そっちが翔くん
だったんだね…!」

「『確か』、『何となく』『そっち』…
ヤメたげて咲ちゃん、翔ちゃんもう
HPゼロだからwww」

「性格悪いなー亮ちゃん?
これでもかって満面の笑みじゃん?」

「京介にだけは言われたく無い。」

「亮太っ京介ッ!」

「えっ?! アッ?! ごっごめんなさいっ!
そういうつもりじゃ…ッ! ただ、いつも
優しい翔くんが、昔から優しかったのが
嬉しくて…っ。さっき、意地悪だったって
記憶、本当は残念だったから…っ」

「咲ちゃん…」

「ホントだよ? あの後実は転校しちゃった
事もあって、当時の事はやっぱりあんまり
良くは思い出せないけど、確かショウくんは
いつも優しくて、ショータくんから庇って
くれてた…ような…」

「咲ちゃん…言えば言うほど傷塩
なっちゃってるから!www」

「え…、まさかそのイジメで転校しちゃった
とか、そんなハナシじゃ無いよね?」

「おい、亮太も京介も もうもうやめ…」

「あっ、違っ! 父が本社に移動になって!
それで家族で引っ越して、こっちで家を
建てたので! そんな理由じゃ無いです!」


ちゃんとそう誤解は解いたのに、ピクリとも
動かずもう俯いちゃってる翔くん。

俯いちゃってお顔は見えないけど、本当に
ドン底まで落ち込んじゃった様に見える彼に
肝が冷えてアワアワして…とにかく普段から
翔くんの優しさに助けられてる事だけでも
ちゃんと伝えなきゃ!って思ったの。


「ちっ、違うの! 私っ、優しい翔くんが
大好きよ?! いつも真っ先に声を掛けてくれて
お日様みたいな眩しい笑顔で照らしてくれて
どんなに落ち込んでても、その笑顔を見てる
だけでこっちも嬉しくなっちゃうくらい、
大好きなの!」

「「「「 !!!! 」」」」


ガバッと勢い良く顔を上げた翔くん。
その表情はさっきまで本当に泣いちゃってた
のか…まだ涙目だけど、すっごく嬉しそうに
キラキラ。

正に天性のアイドル!ってくらい眩しい。


「俺も!!
…ッ咲ちゃんが大好きだ…ッ」


バッと両手を広げて凄い勢いでハグして来た
翔くんに抱き締められて。

その力強さにビックリ。細身の印象だった
翔くんだけどこんなにしっかりしたカラダ
だったの…?! ――あ、そうだよね、だって
あんなにダンスだって踊るんだし!

なんて、ドラマのお仕事以外でこんな風に
男の人にハグされる事なんて無いから…
気恥ずかしさと、ドキドキ。

それくらい、今までの翔くんの軽いハグとは
違ってて…周りの皆さんが引き剥がしてくれ
てなきゃ、私あのまま酸欠だったかも。



あーもう、ビックリした!
翔くんったら…!


あれ、でも私…何でこんなに
ニコニコしちゃってるんだろう?


ちら、と見上げれば

私以上にニコニコと満面の笑みの翔くん。

ホッとした様な一磨さん。
いつもと変わらない義人くんと、
何故か苦虫を噛み潰しちゃった様な表情の
亮太くんと京介くん。


「ヤバ…これ以上藪蛇突かない内に
今日はもう解散しよ。」
「賛成。」

「…調子に乗り過ぎだ。」


何故かさっきまでと空気と表情が全部
入れ替わっちゃった様になってるのが
気になったけど…

翔くんがあんなに落ち込んでるのはもう
見たく無いから、良かった。



そんな、思い出話。


私たちの、

あなたと私の思い出の。










Happy Birthday
dear SYOU KIRIYA xxx 2024.02.14











end.

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