Event 1

□美しき獣
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イキナリ後ろからハグされて。

ドキドキしながら見上げるともちろん
京介くん。

寝起きの、その色っぽい様子は男の人
なのに、思わず正視できなくて視線を
彷徨わせてしまう程で。
私はもう見馴れたはずなのに、未だに
シドロモドロの挙動不審。

しなやかで物音も立てず私に近づく
彼は猫みたい。艶ツヤの黒猫。
警戒心が強いくせに甘えたがりで。


私をいつも振り回す。

フイッと離れたかと思ったら
また近づいてゴロゴロ喉を鳴らして
手触りのいい艶ツヤの毛並。

ああ、彼の真っ黒でサラサラの髪の毛が
そう思わせるのかも。でもアーモンド
みたいな目もそうかも。なんて。

ふふ、

そう思うと何だか笑えた。
彼の上半身裸の寝起きの姿にトキメキ
ながらも。何だか可愛くて。


「なんで先 起きてるの?」


なんて拗ねた様子も可愛くて。
後ろから私を抱き、肩に顎を置く彼を
振り向き、その顔にkiss。

人様からバカップルって揶揄されそうな
そんなイチャイチャ。お部屋だから、
彼の誕生日だから。そんな理由付けが
無いと未だに出来ない事を。
今日は誕生日な彼の為に。

彼は一瞬ピタリと止まって。


「…誘ってる? もしかして。」

「ち、違…っ! きょ京介くんっお昼!
お昼ご飯作ったから!…そのお誕生日の
ご馳走なんて言うと、言い過ぎかも
しれないけど…。」


ギュ…
彼の腕が私の腰を抱き締める。

え、え? まさか、今から…また?!
そう思った私を許して?


「…すっごいご馳走。これって…全部、
俺が美味しいって言ったものばかり…
だよね…?」

「あ、覚えててくれたの?」

「そりゃ…ね。…咲ちゃん…
ありがとう。愛してるよ。」

「京介くん…。私、京介くんが喜んで
くれる事がしたくて。でもこんな事しか
浮かばなくて…。」

「昨日もあんなにしてくれたのに?」

「っ!…な、なに言…っ」


昨夜の事を思い出して、もう真っ赤に
なるしか無い私。そんな私に京介くんは
両手で顔を上げさせてキス・キス・キス。


「も…もう! や、あ、アハハ…!」


沢山の雨降るようなキス。
まるで猫が顔を舐めるように顔中に。


「擽ったいよ、きょうすけくんっ」

「そんな可愛い事ばかり言うから。
…今回ばかりは咲ちゃんが俺を
煽ったんだよ?」

「ええ?! 」

「…大好きだよ、愛してる。」

「わ、私も…」

「ちゃんと聞かせて?」

「だ…ぅ、ううん、京介くん愛してる。
私も京介くんを愛してるよ。」

「っ…!」

「えっ、あ、ちょっと待って!」

「冗談でしょ。そんな本気の愛の告白
聞かせておいて。」

「や…ぁん! ドコ触ってるのっ」

「俺が今から入るトコ。」

「ぁうンっ、きょ…すけ、くん…っ」

「咲ちゃんの手料理もモチロン
ご馳走だけど、俺にとって世界一の
ご馳走は咲ちゃんだからね。」

「は…ァ、ふぅ…んっ、ア…!」


結局 私はまた、京介くんに隅々まで
食べられちゃったのだった…。



ホントに?

本当に喜んでる?

京介くん

私はあなたに喜んで欲しいだけ。


大好き
愛してる


それが伝われば何だって。



私の大事で大事で大好きな黒猫さん

いつも私の膝で微睡(まどろ)んで。



この膝はあなたを寝かす為
この手もあなたを撫でる為

私はあなたのものだから


誕生日おめでとう
生まれて来てくれてありがとう

私を好きになってくれてありがとう


大好き

愛してる

何度でも言わせて?













Happy Birthday KYOUSUKE!
2014.04.14 xxx













end.

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