Event 1

□Revenge
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今日は隼人さんの誕生日。

私は昨日最後のロケで今日は半オフ。
午前中いつもの宇治抹茶さんの番組に
出演したら午後はまるっとオフになる。

だから私は前に一度現場に焼いて行って
隼人さんに気に入って貰えてたっぽい
ケーキ(の豪華版)を焼いて、まだ出番の
ある隼人さんが上がるのを待とうと
思ってたの。


バタバタと走る。
デコレーションが上手く行かなくて、
やり直したら隼人さんが上がる時間の
ギリギリになっちゃってて。

いつも、上がる前に他の出演者の方や
私と話してから帰られる隼人さんだから
大丈夫だと思ったら、もう隼人さんは
出た後で。
今回共演している相馬さんに廊下で偶然
お会いして、もう出番の無い私が此処に
来た理由を聞かれ、隼人さんの誕生日の
サプライズをしようとして来たのだと
話したら、苦笑されて。

「あいつは自分の出番が上がったら、
いつもそのまま帰るから、帰りを狙う
つもりだったのなら早めに来なければ
まず捕まらないよ?」

って…。
あれ? でも隼人さんは何時も雑談して

…あれれ??

私は、まさか…って思いと、いやいや
そんな筈無い、あの隼人さんだよ?
なんて自問自答して。

だって、まさかあの隼人さんが私の前で
だけ居残ってくれてた…? だなんて
幾ら何でも思い上がり過ぎだから!

だ、だってもしも本当にそうだとしたら
お誕生日の今日に何の話も出ないなんて
有り得なく………あれ…?
昨日、隼人さん…何か言いたそうにして
確か、そう、今日の…今夜の予定とか
って…私はてっきり、ドラマの収録が
終わった後の予定だと思っててそんな
答えを隼人さんに話したんだけど、何か
その話をした途端ちょっと不機嫌に…

……それって…もしかして……
もしかしたり、する…?


――えっ、隼人さんが? 私を?
そんなまさか!


そう思う自分と、でもそれでも昨日の
隼人さんの様子と会話のアレコレに
思い当たる部分もあって。

でもだとしたら、私はその折角のお誘い
(チャンス?)に、とっても鈍い反応で
逃しちゃったのかもしれなくて。


隼人さんに憧れてた。

あの不器用なまでに真面目で演技の事に
関しては譲る事も誤魔化す事もしない
あの真っ直ぐな性分に。
私には出来ないハッキリとした意思表示
それがNOでもYESでも隼人さんには
ブレがなくて。

あの口の悪さだって、相手を傷付ける
為のものではなくて、本当は隼人さん
自身がキツイ言い方に傷付いてて。

本当は優しい人。
不器用で、真っ直ぐで。


――私が望んでもいいのだろうか。
隼人さんの側に居たいって。


私は走った。

ケーキを持って。
今夜、クラブでDJをするのだという
情報をくれた仲の良いスタッフさんに
お礼を言って、以前一度、隼人さんが
私を連れて行ってくれたあのクラブへ
タクシーを飛ばして。



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