鬼灯長編

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鬼灯様がオーストラリア旅行から帰ってきて数日が経った。
出発前にいきなり、「3泊4日でオーストラリアに行ってきますので仕事お願いしますね」と言われたときは冗談かと思った。
でもクリスタルヒトシ君2個は羨ましいわ。
…私もハガキ出そうかな。

『おはようございます、鬼灯様』
「…ああ、おはようございます」
眠そうな顔の鬼灯様は何時もより表情が怖い。
昨日徹夜で何かしていたらしいけど、大丈夫なんだろうか。
さすがに閻魔大王も気づくレベルで、不眠はハゲると仰った。記録課にいた頃世話になった葉鶏頭さんもそうだったのかな、と失礼ながらも考えてしまう。
「あ、これから桃源郷へ行ってきます。注文していた薬ができたようなので」
巻き物を目を通しながら、鬼灯様が閻魔様に告げる。
「薬ってことは白澤君に会うんでしょ?
あのコ、君と似てるよね。顔つきもだけど小賢しい所がさ」
思わず手元の書類を握りつぶしそうになる。
鬼灯様も不機嫌そうに「酷く屈辱です」と返してるし。
「緋岸、申し訳ありませんが一緒に『ごめんなさい無理です』…貴女がいると値切りやすいんですよ、お願いします」
頭を下げる鬼灯様は珍しい。
私があの女ったらしと鬼灯様以上に関わりたくないことを知っているからこそ、なんだろう。
『…分かりました、その代わり条件が。あのお供の3匹も一緒に連れて行ってあげてください』
「では、先に不喜処へ向かいますか」
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