鬼灯長編

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鬼灯様がお休みなこの日、桃太郎のお供の3匹が遊びに来た。
「え、鬼灯様今日お休みなの?」
『2日続きで徹夜だったから閻魔大王が休ませたんだよ、ごめんね』
「いつも多忙だしねぇ。ちゃんと休ませないと効率も悪いし」
『お陰で私の方が多忙になりました』
「緋岸ちゃんにも今度休みあげるから!ね!」
『当たり前です』
鬼灯様が働きすぎて倒れるよりは、比較的手持ち無沙汰な私が代わりに働く方が断然マシだけど。
「えー、せっかくお話ししに来たのにな」
そう言ったシロは耳と尻尾を垂らしてしょげる。
…もうすぐ昼だし、起こしてもいいんだろうけど下手すれば機嫌悪くしそう……さて、どうしたものか。
以前、閻魔大王が鬼灯様と旅館に泊まったときには寝ぼけていた筈なのに的確にローキックをかましたらしい。さすがすぎる。
「おいシロ、起こしてこいよ」
お、ナイスアイデア。
鬼灯様、動物には優しいし。
…でもアメリカンホームドラマみたいなアットホームな展開は確実に無理かな。
「なー……やめとこうよ。「触らぬ鬼神にタタリなし」って言うだろ?」
それを言うなら鬼神じゃなくて神だよ、柿助。
ある意味あってるけど。
「ちょっとした出来心が身を滅ぼすこともあるんだぜ?」
「出来心で青い柿をカニにぶつけた600年のお前の精神状態って何?」
そういや柿助ってあのさるかに合戦の猿だったんだっけ。
『とりあえず行ってみたら?』
「住み込みだから、部屋はこの奥だしね」
「あ!じゃあ、緋岸様も一緒に行こうよ!」
なん…だと…。
しまった、動物だからって油断してた。
とんだヤブヘビだ。
『いや、私は「それいいね!案内してもらおうよ!」「緋岸様なら鬼灯様も機嫌良く起きてくれるかもしれねえな」「緋岸ちゃん、昼休みがてらで行ってきなよ」あ、味方ゼロかい』
仕方ない、逝ってこよう。
…でも鬼灯様の部屋に入ったことはないし、何より寝顔と寝起きを見れるのは物凄く貴重だと思うと興味がわいてきた。
普段が普段なだけ余計に。
『よし、行こう!……えっと、閻魔大王も…』
「ワシは絶対行かないっ!逝かないッッ!!」
でしょうね。



『ここが鬼灯様の部屋だよ』
どうしよう、既に威圧感がある怖い。
「インディジョーンズってこんな気分かな……」
もっとマシだろうよ、ジョーンズ博士は。
まったくどんなミッションインポッシブルだよ。
しかしここで私だけ尻尾巻いて帰るわけにはいかない。
頑張れ私!鬼灯様のプライベートをサーチするんだ!
『…開けるよ、静かにね』
口に人差し指を当てて3匹に言う。
キィ、となるべく音を立てないように気をつけてドアを開ける。
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