鬼灯長編

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奥のベッドで鬼灯様は気持ちよさそうに眠っていた。
「…ホントだ。ちょっとの音じゃ起きないんだな」
「うん」
『なんとなくすぐ起きそうな感じなのにね』
それにしても散らかってるな。
…あ、もう1個のクリスタルヒトシ君はここだったのか。
1回見せてもらってからはデスクにあった方しか知らなかった。
ていうか、金魚草グッズが至るところに…。
トロフィー普通に置いてあるし。
そういや去年、金魚草の大会で殿堂入りしたとか何とか…。
それにどうやら意外と収集癖があるらしい?
シロ、柿助、ルリオの3匹も色々見てる。
不意に、もそ…と寝返りを打つ鬼灯様。
…頬に跡ついてる。
『うつぶせになれないんだね、角のせいで』
「じゃあ「覗き穴からスパイ」とかできないのか……」
……想像したらかなり間抜けだった…!
吹き出しそうになるのを何とか堪える。
危ない危ない。
「……」
「……」
「……」
…?急に静かになった。
「お疲れ…なんだね……」
「やっぱり起こすのよそうよ」
「そうだな……」
『じゃあ、もう出る?』
鬼灯様の布団をかけ直しながら、3匹に聞く。
「子守唄でも歌ってあげようよ!」

な ん で そ う な る。

シロが選曲したのは「ギザギザハート」。鉄板ボケだけど、何で知ってるの?
そしてルリオの歌声に釣られ、3匹で「人間っていいな」のコーラスが始まった。
「「「い〜いな い〜いな に〜んげんって い〜い〜な」」」
「「「おいしいおやつにほかほかごはん〜こどものかえりをまってるだろな」」」
「「「「ぼくもかえ〜ろおうちへかえろ」」」」
『あ』
鬼神様のご起床です。
「キャアアアアアア!!!」
シロ絶叫。うるさい。
「…でんでんでんぐりがえって……」
「バイバイバイッッ!!」
逃げようとしたシロの尻尾を掴む鬼灯様。
「待ちなさい。……ああ、緋岸も居たんですね」
『えっと、おはようございます…?』
思わず疑問形。
「…おはようございます」
寝惚けてるのにちゃんと挨拶を返す辺り、本当に真面目だなと思う。
「さっきからうるさいんですけど……この中に肝心の人間1人もいないし」
確かに。犬と猿と雉と、鬼が2人だもんね。
私が鬼かは微妙なとこなんだけども。
「市原悦子さんの声で「桃太郎」が再生される夢を見ましたよ」
「俺達の夢見てくださってありがとう……」
完全にビビってる3匹。
とって食われたりはないから大丈夫なのに。
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