猫の小説

□暗殺復讐鬼
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「新しい殺し屋…ですか」
「あぁ」

各国の首相たちが集まる会議の中で、
烏間の言葉に南米の首相が答える

「ゲリラ部隊で数ヶ月訓練を受け、
軍人の君と比べても遜色ない戦闘技術を持つ
本人は渋っていたんだがね、頼み込んだよ」
明日には椚ヶ丘中学校に配属されるよ、という首相の言葉に
まともな奴であってくれ、と心から烏間は願った

*出会い*

「………今日は君達に転校生を紹介する」

ビッチ先生がやって来て数日後、朝会でえらく疲れた顔をした烏間先生が言った
「烏間せんせー、転校生って聞いてないよ?」
「すまん、如何せん急な斡旋だったものでな…とりあえず質問は挨拶の後にしてくれ」

倉橋さんの質問に軽く答えた烏間先生は、ドアの外に向かって呼び掛けた

「あー、笹塚衛士です、よろしく」
気だるげに入ってきたのは褪せた色の髪と隈の酷い目が特徴的な、
どう若く見ても17,8歳の青年だった

笹塚…どこかで聞いた事あるような…

「あー…彼は22歳だが、教員免許の問題で生徒として配属されている、
仲良くしてやってくれ」
思いだそうと記憶に深く潜っていた意識が浮上した

(完全に大人じゃねぇか!!)

そうクラスの皆の心が一致した

ビッチ先生が来たばかりなのに間髪いれず来た転校生
僕達全員、笹塚さんが普通じゃないのは察しがついた

「…えっと、ところで標的は?」
「あいつは地球の裏に一泊して遅刻だ」
笹塚さんの質問に、青筋を浮かせた烏間先生が答える
通りで朝から見かけないと思った…


**************************
挨拶が終わると、恒例のように笹塚さんの周りに皆が集まった

「22歳で若いのに殺し屋なの?」
「好きな食べ物はー?」
「隈すげぇな…寝不足?」
「忙しいんじゃない?」
そしてまた恒例のように質問責めだ
でも笹塚さんは表情を変える事なく答えた
「や、俺は殺し屋じゃないよ
好きな…たこわさとかおつまみ系好きだよ
別に多忙な訳じゃない、最近眠りが浅いだけ」
1つ1つ丁寧に質問に答えてくれるのが嬉しくて、
先生が居ない内に皆で次々と質問していると、遅刻していた『2人』が登校してきた
「ヌルフフフ、皆さんお待たせしました
途中でサボっているカルマ君も見つけたので連れてきましたよ」
「ちぇーいーじゃん別に、勉強わかるんだしさー」
「そういう問題ではありません!!」
マッハで長時間飛んできたからか少し汗をかいている先生(標的)と、
手入れされても相変わらずなカルマ君だ
…っていうか先生が遅刻ってどうなんだろう

先生が来たことで皆が席に戻る中、笹塚さんの周りの空気が変わった
殺気がでた訳じゃない、むしろ逆に何も『感じなくなった』
無表情だけどなんとなく分かる優しさも、ただ者じゃない雰囲気も『消えた』

「えーっと、出席をとる前に転校生の方に挨拶を…」
パァン!!
一瞬
殺せんせーの言葉を遮って、笹塚さんが発砲した
マッハ20に慣れてる僕らが純粋に早いと思う早さで

「おやおや、先生の言葉はちゃんと聞かなきゃいけませんよ、
それに笹塚くん、君はお手入れが必要ですね」

でもどんなに精密で早くても、一発だけじゃ殺せない
なんせ20人以上が撃つ弾幕でもよけられるんだから

「隈がひどいのはもちろん、顔色もかなり悪いです
朝食をとっていませんね?」
「…はぁ、低血圧なもんで、食ったら吐くんだよ」
マッハで先生に背後に回られた笹塚さんは
特に驚いた様子もなくナイフを構えて冷静に答えていた
その間も先生の手入れは進んでいく
「ずっと食べないから胃が拒否してるんですよ!
髪の毛もぼさぼさですしシャツもちゃんと着ないと!」
笹塚さんが繰り出す斬撃をよけつつ、髪の毛や服を整え口にウィ●ーゼリーを突っ込む光景は
最初に会った烏間先生とのやりとりとカルマ君へ手入れした時のことを彷彿とさせる

やがて『今は』殺せないと悟ったのか、笹塚さんがナイフを下ろすのと殺せんせーが手入れを終えるのは同時だった

「目の下の隈はコンシーラーで隠しました、これで少し若く見えますね」
「…そう?」
確かに殺せんせーの言う通り、元々童顔っぽいのかはわからないけど
隈がなくなると見た目だけなら中高生だ
あらゆる手入れをされ過ぎて無駄にキッチリしてしまった笹塚さんは、
ネイルアートされた自分の爪を怪訝そうに見ていた

「さぁ、遅くなってごめんなさい
出席をとるので皆さん席についてください」

こうして、また今日も暗殺教室が始まった
 

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