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□序章
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――ねえ、知ってる?
――何のこと?
――あの、時を戻してくれるお店の噂だよ
――ああ!知ってる!
――ネットなんかでもちょいちょいあるよね
――ほんとにあるのかな?
――さあ、どうだろう。
――でもあの噂さ、ちょっと不気味だよね
――?どうして?
――願いを叶える代わりに、大事な記憶を取られちゃうんだって
――場所とかも不特定だしね
――え、場所なんてあるの?
――らしいよ。3つ並んだ鳥居を抜けると古いお店が一軒だけあるんだって
――鳥居が3つって珍しいよね。すぐ見つかりそう
――それがさ、そうでもないらしいんだよね
――願いを持った人しか見つけられないんだって
――でも実際、大きな鳥居が3つ並んだ目立つ場所なんて無いんだよ
――まあ、所詮は噂だしね
『強く願えば、それは、必ず叶う。
あなたの"時"、返します。』
ランタンの灯りが、ゆらりと揺れた
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