賢者の石
□組分け帽子
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扉が開いたその先には、エメラルド色のローブを着た、背の高い黒髪の魔女がいた。
唇を一文字に結んで、厳格な顔付きをしている。
「マクゴナガル教授、イッチ年生の皆さんです!」
ハグリッドは生徒を引き連れて、マクゴナガル先生に報告した。
「ご苦労様、ハグリッド。ここからは私が預かりましょう」
マクゴナガルはそう伝えたあと、ホールに続くドアを開けた。
広い玄関ホールの石壁に、松明の炎が掛かっている。
(いつも地下にしか行かないから、何だか妙な気分だわ…………)
サマンサは変にそわそわして、石畳のホールを横切った。
「ホグワーツ入学おめでとう」
窮屈な部屋に詰め込まれると、マクゴナガルが挨拶をした。
「歓迎会の前に、寮の組分け儀式があります。ホグワーツにいる間、寮が家で寮生が家族のようなものです。教室も、寝るのも一緒、自由時間は談話室で過ごすようになります。
寮は四つ、グリフィンドール、ハッフルパフ、レイブンクロー、スリザリンで、どの寮も素晴らしい歴史があります。皆さん良い行いをして寮の得点に貢献するのですよ」
マクゴナガルは説明をしたあとに、待つよう指示を出して立ち去った。
『…………寮の得点って何しら?』
斜め前のドラコに尋ねると、真横に居た子がサマンサを見た。
「あんた、そんな事も知らないの?───いいわ、私が教えてあげる。つまり良い事をしたら自分の寮に点が入って、悪い事したら減らされるのよ。………夜中にうろついたりとかね」
その子は悪態を付きながらも、丁寧に詳しく教えてくれた。
頬っぺたに出来ている笑窪が、チャームポイントで可愛らしい。
『ありがとう。とても助かったわ』
サマンサがお礼をしたその瞬間、マクゴナガルが戻って来た。
「組分け儀式が間も無く始まります!さあ行きますよ」
キビキビしているマクゴナガルの後に、生徒はぞろぞろと付いて行った。
大広間では既に沢山の教員や上級生達が集まっており、教員席の前には四本足のスツールが置かれていた。
マクゴナガルがスツールの上に古ぼけた三角帽子を置くと、突然帽子が歌いだした。
「グリフィンドールに行くならば、勇気ある者が住う寮
ハッフルパフに行くならば君は正しく忠実だ
古き賢きレイブンクロー、機知と学びの友人を必ず得るだろう
スリザリンではもしかして、君はまことの友を得る」
歌が終わると広間に居た全員が拍手喝采をした。
拍手が止むと、マクゴナガルが長い羊皮紙の巻き紙を手にして前に進み出た。
「名前を呼ばれたら帽子をかぶって椅子に座り、組分けを受けてください───ハンナ・アボット!」
いよいよ始まった組分けだったが、サマンサはハリー・ポッターを探すのに夢中になっていた。
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