賢者の石

□魔法薬の先生
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「見て 見て!あの子よ」

「何処だよ?」

「赤毛のノッポの隣」

「あの傷を見た?」





朝食を食べ終わり大広間を出る途中、サマンサは人だかりが出来ている事に気付いた。
何やら固まってヒソヒソ話しをしている。


『ねぇ、何かあったの?』

「ハリー・ポッターよ!あなた知らないの?」


人山の真ん中に居た女の子は物凄い勢いで振り返ると、 サマンサを見て大きく目を見開いた。


「やだ!あなたスリザリンじゃない!…………皆、あっちへ行きましょう」


サマンサの銀と緑のネクタイを見た女の子は、ぞろぞろとお供を連れて去って行った。


『なによ!人をオバケみたいに!』

「誰がオバケだって?」


サマンサが怒りに震えていると、後ろから聞き慣れた声がした。


「さっきのやつら、グリフィンドールだろ?何話してたんだ」


ドラコは、人だかりの去って行った方を睨み付ける。


『なーんにも。ヒソヒソ話ししてたから聞いただけなのに、「ハリー・ポッターよ!」って叫ばれて、嫌な顔されて、それでおしまい』

「気にするなよ。所詮、僕達とは違うのさ……。それからポッター!お偉いポッター!皆あいつの話しばかりだ!」


ドラコは更に宙を睨み付けた。


『ドラコこそ気にしちゃ駄目だよ。私はポッターの話しより、ドラコの話しを聞きたいな!』


サマンサが目尻を下げて言うと、みるみる内にドラコの顔は真っ赤になった。


「い、いいだろう。サマンサにだけは特別に話してやるよ!まずはマルフォイ家について説明してやるからな」


次の教室に移動する間、サマンサはずっとドラコの話を聞き続けた。


◇◆◇◆◇


この年頃の子、特に男の子ならば目立ちたい欲ぐらい持つだろう。ましてや、ハリー・ポッターは同じ学校の同級生だ。


(そりゃあ、見てて面白い訳ないわよね)


サマンサはマッチ棒を鋭い針に変えながら、チラリとドラコを盗み見た。
すると視線に気付いたらしく、ドラコは後ろに居るサマンサの方へと振り向いた。


「すごいな。どうやったんだ?」

『気持ちを集中させるのよ。頭のなかに針を思い浮かべてね』

「…………こうか?」


ドラコのマッチは先こそ鋭くは無いが、銀色の棒へと変化した。
更に助言をしていると、後ろからマクゴナガルがサマンサの針を手に取った。


「素晴らしいですよ、Ms,パケット。先程のグレンジャーも素晴らしい出来でしたが、あなたの針はもっと鋭く光っています!スリザリンに一点差し上げましょう」


マクゴナガルがそう言うと、教室中の生徒がサマンサに注目をした。


「やったな!グリフィンドールのやつら、いい気味だ」


サマンサは気恥ずかしくて喜ぶどころでは無かったが、ドラコの機嫌が戻った事に関しては嬉しく思った。


『初めて出来た友達だもんね!』

「は?急になんだよ?」

『ドラコの事よ!』


サマンサは真っ赤な顔のドラコを無理矢理引き連れると、スキップしながら次の教室へと向かうのであった。



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