元拍手文

□ジュースより甘い水分補給
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*未来編の一幕

*25雲雀と14綱吉





「休憩」

言えば、沢田綱吉は床にべしゃっと座り込んだ。
それを見ながら、壁に背を預ける。
なかなかいい。僕の知る10年後の彼にどんどん近づいて来ている。

しゅーっという音を立てて死ぬ気の炎が消えた沢田綱吉はひぃひぃ言いながら這って部屋の片隅に置いてある小型冷蔵庫へと近づき、中から缶ジュースを取り出した。
喉が渇いているときに水分補給に甘いものを選ぶなんて、やっぱりこの子アホだな。
なんて思いながら彼の観察を続ける。
育ち盛りで可能性に満ち溢れている彼を見ているのは、昔も好きだった。

缶ジュースの蓋を空け、沢田綱吉は一気にそれを飲みくだす。
まだ喉仏も出ていない喉が、ごくりごくりと音を鳴らしながら上下するのを見ていたら、何だか僕まで喉が渇いてきた。

後ろからそっと近づけば、沢田綱吉は気付かない。
一応修行中は僕君に本気の殺意を飛ばしているんだけど。
今はラルミルチも席をはずしているから、密室に二人きり。もうちょっと警戒しなよ。
本当に世話の焼ける。

十分に近づいて、手から缶ジュースを奪い取れば、沢田綱吉は目を丸くしてこちらを見た。
君、本当昔から童顔だったんだね。十年後でもあんまり変わってないけど。
奪い取ったジュースを飲めば、甘い。甘過ぎる。よくこんなもの勢いよく飲めるね。
ああ、そうだ。この子、味覚もお子さまだった。

視線を沢田綱吉に戻せば、顔を真っ赤にして、口をパクパクしている。
なんなの。

「……か、かんせつ……」

かんせつ?関節?ああ間接か?
ああ、なるほど。そうだね、「まだ」だったね。
それなら。
わざとらしくニヤリと笑って、首筋に噛みついてやった。
「ぎゃあ」だなんて、ほんと昔から色気ないよね。
まあ、ジュースよりも甘いくせに、やっぱり君は美味しいからいいか。

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