□それが二人の生きる道
1ページ/2ページ


何事も良い事は長続きしないし、人には誰だって何かしら欠点がある。
雲雀恭弥はすっごく凶暴。そしてとっても気まぐれ。
沢田綱吉はほとんど動かない。つまりとっても怠惰。

そんな二人が出会ったら?



 ここは並盛。日本のどこか、どこにでもある様な町。大なく小なく並みがいい。そんな町。でもちょっと変な町。
 その並盛の雲雀さん家のお坊ちゃん、恭弥くん(五歳年長さんクマ組)はとっても有名。黒髪黒眼できりりとした目が印象的な綺麗な顔の男の子。そんな彼はトンファーを手に、向かってくるやつは咬み殺す。向かってこなくても咬み殺す。将来がとっても心配。主に周りの被害的な意味で。そんな恭弥くんには最近とっても気になる小動物がいる。

「ねえ、つなよし」
「なんですか、きょうやくん」

 つなよしとよばれた、小っさい子ども。彼が最近の恭弥くん御執心の小動物、沢田さん家の綱吉くん(四歳年中さん、ライオン組)。綱吉くんはちんまりしているし、髪の毛はもふもふしていて、色素も薄い。動作もどこか危なげだから見た目まんま小動物。
 どんな人間も一つは美点があるもので、恭弥くんは乱暴者だけど小動物には優しい。だから男の子にしとくのは勿体ないほどの愛くるしい綱吉くんを気にいったのだと周りの大人は思っている。
 それは間違いではないけれど、それが全てでもない。

「あきた。『そうしょくどうぶつ』ばっかりでつまんない」

 並盛幼稚園の片隅。恭弥くんは、仏頂面。対して綱吉くんは、眉をちょっぴりよせて、困り顔。普通四歳児はそんな顔はしない。そう。綱吉くんもやっぱりちょっと変だった。

「ねえ、つなよし、いつまで『そうしょくどうぶつ』のマネ、してるの。ぜんぶカミコロしちゃおうよ」

 まだちょっと舌足らずな喋り方なのに、内容はとっても物騒な恭弥くん。

「いやですよ。めんどくさい。
それにね、きょうやくん。
きょうやくんのいう、『そうしょくどうぶつ』だって、ムレたら、『にくしょくどうぶつ』も、ころすんですよ。オレたちはまだ、コドモなんですよ。だから、まだ、ダメです」

 ねえねえ、綱吉くん?やっぱり何かが変だよ。普通の四歳児はそんな丁寧な言葉使わない。あと、あんまりめんどくさいなんて言わない。どうしてその歳でそんなに怠惰なの。会話の内容もちょっぴり不穏になってきた。それに、恭弥くんに反対したら咬み殺されちゃうよ。
 でも、恭弥くんは、トンファーを取り出さずに、ふふんと鼻で笑って返すだけ。

「だから、『ムレ』はキライだよ。ひとりじゃなにもできないくせに、むれてイキがる」
「オレも、『ムレ』はキライです。とくに、ガイコクの、へんなナマエのかいがらのヤツ。すぱげってぃーになっちまえっておもいます」
「ふぅん。じゃあ、つなよしがキライなものは、ぼくがぜんぶ、カミコロしてあげるね」
「きょうやくんカッコイイ!オレ、きょうやくんのこと、すごくスキ!」
「ぼくも、つなよしのこと、スキだよ」

恭弥くんがにっこり。綱吉くんもにっこり。

「ねえ、きょうやくん。おおきくなったら、いっしょにアイツら、ぜんいんぜんぶ、ぶっころ……ぶっつぶしましょうね!」

 やくそくですよ、うそついたら、はりせんぼんのーます!
キャッキャと戯れる二人の姿は、見ている分にはとってもとっても可愛らしいのに。


 結論からいうと、綱吉くんは天使の見た目に反して、結局恭弥くんと同類だったのだ。でも恭弥くん以外には秘密。類は友を呼ぶというけれど。並盛幼稚園で運命の出会いを果たしたこの二人はあんまりにも凶悪すぎやしないだろうか。しかも綱吉くんは、何故だかわからないけれど、草食動物の皮をかぶっている。こんなの詐欺だよ、あくど過ぎるよ。
次へ  

[戻る]
[TOPへ]

[しおり]






カスタマイズ