マシュマロだって恋をする
□チョコレート大作戦
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「うーーん…」
「あら、どうしたの?優芽。」
「あ!丁度よかった!不二子さん、ちょっと一緒に考えて欲しいんだけど〜♪」
とある日の午後、リビングのソファーで携帯を片手に唸っていた優芽は
ティーカップを片手に隣に座ってきた不二子にキラキラとした目を向けた。
「ねぇ、不二子さんは誰かにチョコレートあげる?」
「あぁ、もうそんな時期だったわね!勿論あげるわよ?大事にしておかなくちゃいけない男が沢山いるもの。」
「あー、なるほど。でもさ、ルパンさんには本命チョコあげるんでしょ?」
優芽の言葉に、不二子は啜っていた紅茶を危うく噴きそうになる。
「っ…何言ってるのよ!ルパンだって私からすれば便利な男の内の1人なんだから、本命なんてとんでもないわ!」
「またまたー、女同士にはわかるよ?不二子さん、ルパンさんの事好きでしょ!」
「もう!年上をからかうなんて!一緒に考えてあげませんからね!」
「えー!?不二子様、この通りです!許してくだせぇ!お願ぇだ!」
「ちょっ!紅茶がこぼれちゃうわよ!わかった!わかったからその変な喋り方やめなさい!」
必死に不二子の肩を揺らしながら農民の如く頭を下げる優芽に、同じ女としてため息が出る。
「で、五ェ門にチョコレートあげるんでしょ?」
「うん!でも、せっかくだから世界に1つしかないチョコレートを作りたい!」
「手作りなら、どれも世界に1つじゃない。」
「いや、何て言うか…ありきたりなチョコレートは嫌なのですよ!誰も作った事のないようなニュータイプを…!」
力説しながら拳を握る優芽のもう片手には、検索途中の画面を開いたままの携帯電話。
その画面に“梅干し チョコレート”の検索文字を見付け、思わず頭を抱える不二子。
「優芽、あなたまさか梅干し入りのチョコレートなんて作ろうとしてないわよね?」
「え!?どうしてわかったの!?不二子さんエスパー!?」
これには、軽く目眩がした。
「だって、ルパンさんから五ェ門さんは梅干しが好きって聞いたから〜…やっぱ無謀かな?」
「五ェ門も気の毒ね。」
「うー…でもさ!この世にはニンジンケーキもホウレン草ケーキもあるわけだし!もしかしたら美味しいかも!」
「じゃあ試しに作ってみたら?今日は五ェ門もいないし、色々作ってみるにはいい日じゃない♪」
「そうだね!私も仕事休みだし、ちょっと買い物行ってきまーす!」
足早にリビングを出ていく優芽を、不二子は肩を竦めて見送った。
今日、五ェ門はルパン達と一仕事に出ているためいない。
それをいい事に、これから優芽による恐怖のチョコレート作りが始まろうとしていた。