泥棒達と風使いの少女
□魔法使いと少女
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「お〜い!美羽ちゃ〜ん!?」
「なんだよ、朝っぱらからうるせぇな。」
「おう次元。お前、美羽見なかったか?」
「さぁ?なんせ今起きたばかりだからな。」
「…まさか、お前の部屋にいねぇだろうなぁ?」
「いてたまるか。」
次の日の朝
美羽と共に街へ行く約束をしているルパンははりきって早起きをしたようで、支度を整えたものの肝心の美羽が見当たらず大声で探す中
迷惑そうに部屋から出てきた次元に疑いの目を向け、逆に呆れられていた。
「五ェ門といるんじゃねぇか?」
「なぬ〜!?あんにゃろめ!!美羽〜!!今行くぞ〜!!」
「……親バカ…いや、バカ親か?」
叫びながら庭で居合いの修行をしている五ェ門の元へ走り去る後ろ姿を、次元はポツリと呟きながら見ていた。
「五〜ェ〜門〜!やい!このロリコン侍!美羽を連れ出して一体何を…っ!…………おーい、五ェ門ちゃん?どったの?」
庭に出て五ェ門に掴みかかるルパンだったが、屋根の上辺りを見たまま珍しく焦った顔で固まっている五ェ門に首を傾げる。
「五ェ門〜。お前、変な顔してな〜に見てやがん…」
言って同じように屋根を見上げたルパンも固まった。
「ウゥゥ〜…シャアーーー!!!」
「シャアーーー!!!」
固まる2人の視線の先には、
全身の毛を逆立てて威嚇する猫と
猫と全く同じ体勢で向かい合い威嚇する美羽。
「こぉら〜!美羽〜!降りて来なさぁ〜い!!」
暫し固まった後、ハッとしたルパンが両手を大きく振り回しながら叫ぶ。
その声に驚いて、猫が更に尻尾を丸々と膨らませて一目散に逃げて行った。
それを鋭い目で見送った美羽が、ようやくルパン達の方へ顔を向ける。
「弱いな、あいつ。」
その第一声に思わずガクッと転けるルパンと五ェ門を尻目に、今度は飛んで来た小鳥を発見しキラリと目を光らせ駆け出す。
そして逃げ出す小鳥を追うように、屋根から空中に向かって思い切り踏み込んで飛び出した。
「「ッ!?」」
落ちる!と慌てて走り出す2人が、同時にピタリと足を止める。
「「…………」」
揃って目を丸くし呆然と見上げるその先では、
人間の目から見ても、相当焦った様子で鳴き声を上げながら空高く逃げ回る小鳥と
羽ばたきはしていないものの、同じように空を飛び物凄いスピードで追いかけ回す美羽の姿。
「…ルパン、」
「…五ェ門、」
「「ちょっと失礼っ!!」」
ーゴスッ…!!
とりあえず…信じられない状況を前に、二人は同時にクロスカウンターを決める。
「「…ゆ…夢じゃなかった……」」
弱々しく呟いて、2人は地面に崩れ落ちた。