鬼灯の冷徹

□ジンジャー
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『...針山は特に問題なし。不喜処(ふきしょ)地獄はどう?』



「従業員不足ですねえー」


二人の女性と男性が歩いている。すると後ろから一人の小鬼がやってきた



「鬼灯様ァー天国の桃源郷(とうげんきょう)から人材貸し出しの要請が...」



『天国の世話までしてられません。どうせ閻魔大王(あのアホ)が面倒だからって私に相談しろとでも言ったのでしょう?』



紙を受け取り言う。



「今さらっとアホって言った?」


『桃源郷かぁ...よくも罪人もいないのにヌケヌケと...たっぷりのんびりしているくせに...まんでもかんでも私に回してきやがる』


彼女の名前は鬼灯花。仮のを鬼灯という。閻魔大王第一補佐官である



『桃農家への人材貸し出し?
あぁ、白澤か。
人材が見つかりしだいに送るとでも言え。
...そもそも仙桃(せんとう)作り妙薬を確保するという天国の制作には反対なんだ』



クリップボードを軽く叩いて持ってきた鬼に手渡す



するとさらに奥から白い鬼が走ってきた


「鬼灯様アアアアアア!スミマセンッ、ちょっとトラブルが...」



走ってきて息切れしている。思わず背中をさすった


「ありがとうございます...。桃太郎というのが来て...!」



『桃が来た?いりません』



先ほどの話からか、仙桃がダンボール箱に入って送られていることを想像してしまう



「あ、いやあの...お中元とかじゃないんですけど...とにかくこっちに来てください!」


「あっ、こっちがさきに...」



「いや不喜処が先だ...」


引っ張られ、されるがままにされておく。道中アイアンメイデン(鉄の処女)をみつけ問い詰めようとしたがはぐらかされた



「あっ、鬼灯様!わざわざありがとうございます!」



「おっ!お前上官だな!?」



奥の道でピーピー喚いていた男と動物がこっちを向いた


「俺と勝負しろ!」


そういって刀をこちらに突きつけてくる桃太郎。
私はふいに懐へ手を伸ばし金棒を取り出そうとするが、面白そうだったのでからかってみることにした


ちかくにいた鬼に事情を聴いた

『なるほど。道場破りか。なら関係ないな、帰る』


スタスタと音がする。
不喜処に行かなければな。


「うおおおぉぉぉぉいい!!行くな!せめて戦え!」


『反応が遅いですね。そんなので桃太郎つとまるんですか?』

来た道を戻り、桃太郎と向き合う
こうしてみると...

『何でしょう..........思ったより..........いや、大変古風で見目麗しい....な』


「何が言いたい!!」

顔を真っ赤にして起こる桃太郎さん
あ、肩に雉が乗っている。重くないのかな

『...ふむ...生前悪い鬼の退治で大活躍したのを誇るのはいいが
そのせいで大義を見失ってはいないか?』

おっと、古風なものを目の前にすると言葉がおかしくなってくるな

「フフン、いーや?見失ってないね。
鬼と戦ってこそ桃太郎なんだ。
なっ、相棒!」


「俺は契約料(キビダンゴ)のためです」
「でも現代はキビダンゴより美味しいものが多すぎる」
「雇用形態が室町時代から変わらんから正直転職を考えている」

上から犬、猿、雉、だ
ていうかいまだにキビダンゴをあげていたのか。
それに釣られる奴もだが
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