* NO.6

□Chocolate cosmos
1ページ/7ページ

Chocolate cosmos
*falsehood*   



_


2月14日 西ブロックの廃墟ホテル
夕日の光が暖かく照らす
喧騒や嬌声も静まってきた頃

紫苑は犬たちを洗い終え、わしゃわしゃとタオルで水を拭き取っていた。
犬たちはご機嫌そうに紫苑とじゃれあっている。

「ははっやめろってっ!くすぐったいよ」

「おい紫苑!予定の時間とっくに過ぎてるじゃねぇかよ。」

上から降ってきた声の方を向くと
イヌカシが壊れかけた窓の讃に腰をかけて呆れている様子

「ごめんイヌカシ、もう少しで終わるんだ。」

「チッ、このやり取りこれで何回目だろうな。」
イヌカシはフンッと鼻を鳴らした後
軽く地面に着地すると めずらしく笑顔を向けてきた

「なぁ紫苑、今日は何の日か知ってるか?」
ニヤニヤといたずら気味な笑顔に
子供っぽくて可愛らしいと思ってしまう。

「2月14日。バレンタインデーだろ?」
僕は大型の犬を拭きながら自信満々に答えてみせる

「ちぇ、なんだよ知ってたのか つまんねぇ。」

「ははっ ごめんごめん
イヌカシは誰かにあげたりするのか?」

「べ、べつに・・・。
お前さんはネズミに用意してそうだよな。」

「・・・それが、まだ用意してないんだ」


_
次へ

[戻る]
[TOPへ]

[しおり]






カスタマイズ