* NO.6
□Chocolate cosmos
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Chocolate cosmos
*falsehood*
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2月14日 西ブロックの廃墟ホテル
夕日の光が暖かく照らす
喧騒や嬌声も静まってきた頃
紫苑は犬たちを洗い終え、わしゃわしゃとタオルで水を拭き取っていた。
犬たちはご機嫌そうに紫苑とじゃれあっている。
「ははっやめろってっ!くすぐったいよ」
「おい紫苑!予定の時間とっくに過ぎてるじゃねぇかよ。」
上から降ってきた声の方を向くと
イヌカシが壊れかけた窓の讃に腰をかけて呆れている様子
「ごめんイヌカシ、もう少しで終わるんだ。」
「チッ、このやり取りこれで何回目だろうな。」
イヌカシはフンッと鼻を鳴らした後
軽く地面に着地すると めずらしく笑顔を向けてきた
「なぁ紫苑、今日は何の日か知ってるか?」
ニヤニヤといたずら気味な笑顔に
子供っぽくて可愛らしいと思ってしまう。
「2月14日。バレンタインデーだろ?」
僕は大型の犬を拭きながら自信満々に答えてみせる
「ちぇ、なんだよ知ってたのか つまんねぇ。」
「ははっ ごめんごめん
イヌカシは誰かにあげたりするのか?」
「べ、べつに・・・。
お前さんはネズミに用意してそうだよな。」
「・・・それが、まだ用意してないんだ」
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