* NO.6
□Summer
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Summer
*Passing*
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大きな緑の木、セミの鳴き声、川の流れる音。
季節は 夏を迎えていた。
西ブロックの夏は、湿度が低く、比較的に過ごし易いが
食べ物が腐りやすく、困る時期でもあった。
そしてネズミが何より苦手とする季節である。
そのネズミは
現在、地下室のベッドで横たわって寝ている。
いや、寝ているというよりも死にかけているようにも見える・・・
「いつまで寝てるんだ?
7月に入ってから一度も外に出てないじゃないか。」
「んー・・・」
声をかけるが、返答なのかうなり声なのかわからない声を返される。
「ネズミ、1ヶ月も引きこもってなんかいるから
劇場の支配人が怒ってたよ。」
「・・・動きたくない。」
こっちを向かずに苦しそうな声でそう言う。
まずいのは、ネズミが引きこもって1ヶ月を過ぎようとしていた。
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