* NO.6

□夏祭り 2
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夏祭り 2 
*Applecandy
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月明かりに向かって歩く。

林を抜けて道に出ると、遠くに聞こえる子供のはしゃぎ声と 提灯の明かり。

僕はネズミの元へと急ぎ足で向かう。

神社の前を通りかかると、ネズミが退屈そうにベンチに座って
柄に似合わない林檎飴を舐めていた。



「ごめんっ!ネズミ!」



「・・・」



立ち止まって声をかけると、
機嫌を悪くしたのか無視される。



「その、道に迷っちゃって・・」


イヌカシのことなんていえるはずもない。

ただ、ネズミと楽しむことだけを考える。



「どこ行ってたんだ」


「あー、すぐそばの公園だよ!」


「へえ、イヌカシと2人きりで何してたんだよ」


「、何だっていいだろ、ほら、屋台回ろう」



僕は話を逸らし、屋台のほうへ歩き出す。


するとネズミの華奢な指が僕の手首を掴みとめた。



「紫苑、俺が気づかないとでも?」


「・・・え?なんのことだよ」


「本当にわかりやすいよな」


「・・・」


「ふっ、そこで黙ったらはいそうですっていってるようなもんだろう」


「ネズミ、見てたのか・・?」


「まあな、イヌカシがあんたのこと気にかけてるってことは前から知ってたし」


「え!?」


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