* NO.6
□桃色
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そのやわらかい腕に、優しく抱きしめられていた。
耳元に、ネズミの息がかかってくすぐったい。
唇が、耳たぶに触れる。
くすぐったくて肩を竦めてしまう。
すると冷たい感触が、耳をなぞった。
「っネズミ?!」
「どうして一々反応する?」
「どうしてって・・・君がそうしてるんじゃないか」
「こうされたいって、思ってたんだろう?」
「・・・!!」
「正解か。」
舌が、耳をなぞったり
耳の中に入ってきたりしている。
それは強引で優しさなんてなくて。
ネズミが、いつもと違う・・・寒気が立つほど怖いと感じてしまっていた。
灰色の瞳には感情一つ映っていなくて
暖かさを感じれない・・・怖い。
「どうした?・・・足震えてるけど」
「離せよ・・・」
「離すわけないだろ」
「どうして・・?」
「まだわかんないわけ?」
呆れた表情のネズミ。
「わかるわけなっ・・・!んんっ!」
言葉を唇で閉ざされた。
ネズミの唇が、僕の唇に触れている。
暖かかった・・・ちゃんと、優しかった。
それは体温から伝わる
偽りのない想いに感じた。
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