* NO.6
□桃色
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そっと唇が離れると、目の前には
優しくて暖かい目をしたネズミの顔があった。
「全く、鈍感にもほどがある。」
「ネズミ・・・」
「なんだよ」
「ありがとう。」
そう言うと、ネズミは照れくさそうに頭を掻いた。
ありがとう、こんな僕を必要としてくれて。
ありがとう、知らなかった様々な気持ちを教えてくれて。
ありがとう、ありがとう・・・ネズミ
ぎゅっと、抱きしめる腕に力が篭る。
「もう少し、このまま・・・」
桜の木の下で
春の桃色に包まれながら
僕は眠りに落ちた。
fin.
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