* NO.6
□Summer
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ちなみに今は、真昼間で
一番気温が上がる時間帯だ。
さすがにネズミでも、身じろぎもしないとなると
心配になってきて、僕はネズミの首に触れて体温を測る。
「ん、しおんの手、冷たいな・・・」
首元に乗せた手を、ネズミは両手でぎゅっと握ってふわりと笑う。
―トクン
心臓が音を立てた。
初めてみるあまりにも無防備な笑顔に
これは夢なんじゃないかと疑った。
「いっ、なにすんだよ」
自分の頬ではなくなぜかネズミの頬をつねって
夢かを確かめるが、どうやら現実のようだ。
「ふふっ」
睨む顔にも全く迫力がなくて、笑ってしまう。
「んで笑うんだよ・・・」
仕返しなのか僕の頬に手を伸ばして
つねってくる。
「ごめんって、けど全然痛くないや、ははっ」
またネズミが睨む。
ものすごく、労しくてかわいいのだけど。
だが言い合いに疲れたのか、
ネズミはぐったりと横たわってしまった。
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