* NO.6
□夏祭り 2
2ページ/4ページ
_
「・・・・はあ。あんたってほんと鈍感。」
「う、うるさいな!」
「紫苑、」
ネズミの濃灰色の瞳がこちらを見つめる。
「なんだよ」
「あんたは俺の気持ちにも気づいてないだろうから教えてやるよ」
「え?」
ネズミは優しく微笑み
僕の顎に指を添えた。
心臓が高鳴るのが自分でもわかった。
「ふっ、顔真っ赤だぞ 緊張してるのか」
「だ、だってここ、人通りがっん!!」
喋る口を無理やりふさがれ、驚く。
暑くて、汗が滴る。
すこし甘いような気がした。
「ん、・・・ネズミ」
「そんな顔するな」
ネズミは目を逸らし頭をかく。
「あんた、イヌカシにキスしただろ」
「!・・・ああ。」
「・・・そういうのやめろ、好きでもない奴に気休めでしたりするの」
珍しくネズミの目が泳ぐ。
もしかして、嫉妬しているのだろうか?
「ああ、ごめん、ネズミ・・」
「許さないって言ったら?」
「え?」
_