* NO.6
□夏祭り 2
4ページ/4ページ
_
「ふっ、顔真っ赤だぞ」
「!! 、り、リンゴ飴のせいだろ」
「わかりやすいなほんとに」
「ね、ネズミがあんなことするからだろ!」
「ん?」
「とぼけるなよ!・・もういい、一人で屋台みてくる」
僕はリンゴ飴を食べ終わると
立ち上がり階段を上る。
「待てよ、悪かったって」
いつもよりも明るいネズミの声が追ってくる。
気がつけば僕も笑顔になっていた。
君と他愛もない話をしたり
時々驚かされたり、笑いあったり
そんな些細なことでも幸せだって思えるんだ。
ネズミ、君は僕にとってとても大きな存在で
これからも共に生きて生きたいと思える存在で
だから、
「ネズミ」
「なんだよ」
チュッ
「!」
「驚いたか?仕返しだ」
「ふざけるな」
「ごめんって、・・・なあネズミ」
ネズミが不機嫌そうに、でも少し嬉しそうにこちらを向く。
「ありがとうな」
「・・・ああ、」
そう言うと、ネズミは目を逸らし頭をかく。
顔を隠すように先に歩いていってしまう。
僕は足早に歩き出すネズミの背中を追いかけた。
fin.
_