* NO.6
□Kiss 2
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Kiss 2
*For years to come*
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まさかキスで風邪が移るなんてな。
こてこての恋愛小説じゃあるまいし
底が焦げないように
スープをかき混ぜながら、そんなことを考えていた。
・・・でも、あんなに求めてくる紫苑は初めて見たから
正直驚いた。
実際のところ、理性も切れそうで
できることなら今すぐ紫苑と重なりたい。
しかし風邪で弱っている姿を見ると、
そういうわけにもいかないよな。
ストーブの上で煮たスープを
木の皿に移して、紫苑のもとへ運ぶ。
「紫苑、食べられるか?」
声をかけると重そうに上半身を起こす。
「・・・あぁ。」
目は潤んでいて、額からは汗が滴っていた。
苦しそうに、息を吸っている。
俺は、茶碗に入っているスープを掬い
ふうっと息を吹きかける。
「ほら、口あけろ」
「え?」
「苦しいんだろ、いいから」
そう言うと素直に
こっちを向いて、口をあけてくる。
・・・あれ、何やってんだ俺は。
こんな甘やかすつもりなんてないはずなのに。
なのに・・・
手が勝手に紫苑の口へとスープを運ぶ。
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