海神の娘

□デート2
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「ただい…「おかえり〜」…ぐぇ」

ドアを開けた瞬間、腹部に衝撃もとい突撃を受けた。

「随分手荒いお迎えね…どうしたの?花瀬」

突撃してきたのは神器の花瀬だった。お腹の
ナイスな位置に頭がぶつかってなかなかの衝撃。…しかも狭い玄関で、だ。カバンの角が脇腹にぶつかって地味に痛い…。

「お姉ちゃん!今日デートでしょ?恵比寿様とデートなんでしょ?」

今の花瀬はニヤニヤという表現がピッタリだ。年齢的に言えば小4くらい…マセガキめ…。顔を直視できないで目線を泳がしながら答える。

「そーよー。支度しなきゃいけないから離してー」

「はーい。デート♪デート♪デェーエートォー♪」

クルクル回りながら歌う花瀬を避けながら自室に向かう。

「おー嬢、おかえり。デートだって?髪、結び直すのか?」

そう言いながら台所から顔を出したのは赫瀬だ。丁度お昼の時間だ、今日の昼食はカレーらしい。

「シャワー浴びてくるからその後お願い!」
「わかった。五分で出てこいよ!節電だからな!」

「へーい」

大黒ほど厳つくはないとは言えとても家事をするようには見えない男だが、とても器用で今では立派な我が家の主夫だ。たまに髪の毛を結んでもらっている。…アレンジなんてお手のものだ。

自室にカバンを置き、買ったばかりのワンピースを持ち風呂場に向かう。汗を流して出てくれば少しは気分が良くなったように感じる。脱衣所にある扇風機にあたっていれば「五分たったぞー!!!」…涼む時間は終わりか。

「おう、上がったか。…似合ってるぞ新しいワンピース。その服なら髪は軽く結わえるだけでいいな?」

「おまかせしまーす」

リビングでは花瀬がカレーを頬張りながらテレビを見ていて、花瀬の向かいに座りながら鏡と化粧ポーチを広げる。
髪を赫瀬に任せ、自身は化粧を始める。

「二人だけ?他は?」

「渡瀬は本屋。新瀬と流瀬は荷物持ち。黄瀬は散歩だ」

「ふーん、あっ!今日は晩ご飯いらないから。デザートはとっておいて?」

髪を解かされながら化粧をする。もともと手元が器用な方ではないからマスカラが上手く塗れずプルプルする…イラァ

「化粧しながらイラつくなよ…ほら、できた。」

そう言いながら頭に手を置く赫瀬はイケメンなお母さんだよ…。

「ありがとう!よし!こっちもできた!時間も…あと六分。よし!」

鏡で全身をチェックして、ワンピース似合ってる!なんて自画自賛しながら出かける支度をすませる。

「お姉ちゃん!いってらっしゃーい」

リスみたいにカレーを頬張っていた花瀬が顔を上げて手を振るのに振り返して、玄関に向かう。

「そんじゃ、いってきます!」

花瀬と台所に戻った赫瀬に声をかけて玄関の扉を開けた。



暑くて出たくないと心の底から思ったのは恵比寿には内緒にしておこう…

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